LNCrawler

プラーダ

異世界のんびり農家 — ncode.syosetu.com · All chapters

プラーダ

私の名はプラーダ。

長く生きる悪魔族の一人だ。

昔は大暴れしたものだが、最近は大人しくしている。

私たちのボスが、ドラゴン族に 従 ( したが ) ったからね。

ドラゴン族のところで働いている。

さすがの私も、ドラゴン族には敵わない。

ああ、勘違いするんじゃないよ。

そこらのドラゴンには負けない。

逆にぶちのめす。

敵わないのは、神代竜族の連中だ。

あいつらは存在自体が反則だからな。

挑もうって気にもならない。

私たちのボスは、よくあんなのに挑んだものだ。

感心する。

でも、見習ったりはしない。

さて。

私の同僚というか古い友人に、ブルガとスティファノという二人がいる。

同じ悪魔族で、強さは……まあ、私と同じぐらい。

たぶん。

いや、ちょっと向こうのほうが強いかもしれないけど、状況さえ整えたら私が勝つから、同じぐらいで大丈夫。

この二人、少し前からラスティさまのメイドとして出張している。

ラスティさまというのは、ドラゴン族の娘さんだ。

すごい暴れん坊で、嫁ぎ先はないだろうと思っていたら、いつの間にか嫁いでた。

まあ、ラスティさまの話は横に置いておいて。

ブルガとスティファノは、出張先でそれなりに楽しくやっているそうだ。

用事で戻ってきたとき、食事が美味しいと自慢していた。

強い相手とも戦えるそうだ。

ちょっと羨ましい。

が、もっと羨ましいのが、褒賞メダルなる美術品を手に入れていたことだ。

私は美術品に目がない。

綺麗な物、大好き。

褒賞メダルをみせてもらったけど、ひと目で惚れ込んでしまった。

欲しい。

絶対に欲しい。

しかし、譲ってはもらえなかった。

粘ったけど駄目だった。

失意で仕事をサボったら、ボスに怒られた。

くうっ。

ラミアたちが荷物を抱えて職場にやってきた。

定期便だ。

私たちはラミアたちから荷物を受け取り、職場から少し離れた場所にある宿に運び込む。

その宿にやってくる商人に、荷物を渡すのが仕事だ。

面倒ではあるが、大変な仕事じゃない。

いつも通り、こなすだけ。

そう思っていたのだが、荷物を運んできた一匹……失礼、一人のラミアの首飾りを見てしまった。

首飾り自体は、たいしたものじゃない。

だが、その首飾りの中央にあの褒賞メダルが 嵌 ( は ) め込まれていた。

…………

頑張った。

粘った。

しつこく交渉した。

そうして、私は自分の持っているコレクションの大半と、首飾りに嵌め込まれていた褒賞メダルを交換してもらった。

私は欲しい物は手に入れる。

そんな女。

褒賞メダルをニヤニヤしながら眺め、仕事を三日ほどサボったら上司に殴られた。

痛かった。

私が褒賞メダルを持っていることをボスが知り、事情調査にやってきた。

ラミアとの交渉は紳士的に行ったはず。

脅してはいない。

正当な取引。

文句を言われることはない。

と思うのですが、私はなにかやってしまいましたか?

丁寧な口調で聞いてみた。

問題ない?

よかった。

でも、褒賞メダルを外に流出させるのは禁止?

もちろんだ。

誰が手放すものか。

めちゃくちゃ大事にするに決まっている。

数年後。

宿に定期便の荷物を受け取りに、商人とその護衛の冒険者たちがやってきた。

もともと、商人たちは職場まで荷物を受け取りに来ていたのだけど、色々と大変だからと受け渡し用の場所として宿が用意された。

そんな宿なので、商人とその護衛の冒険者たちは、一泊していくのが恒例になっている。

ドラゴン族の用意した宿に来て、泊まっていかないなんてありえない。

しかし、そうなると宿の運営をしなければいけない。

私たちの仕事だ。

まあ、利用する客はほぼ同じメンバーなので、気楽にやっている。

いまは食後のゲームタイム。

就寝までの時間を潰す相手をするのも仕事のうち。

私は誰かと対戦するのが好きだ。

リバーシやチェス、麻雀など、知的なゲームが好み。

ミニボウリングも悪くない。

ゲームではお金を賭けている。

洒落にならない金額ではなく、遊びの金額を。

ゲームを真剣にするための工夫だし、娯楽として受け入れられている。

今回は、四目並べ。

麻雀のメンバーに入れなかった護衛の冒険者の一人と、私は四目並べを楽しんだ。

ところで、私は褒賞メダルを大事に持っている。

大事なので、財布の中の隠しポケットに入れているのだ。

……

正直に言おう。

私はギャンブルも好きだ。

そして、熱くなるタイプ。

おわかりだろうか?

商人とその護衛の冒険者たちが帰ったあと、三日ほどして私は自分の失態に気づいた。

ギャンブルの負けで、財布ごと相手に渡してしまったと。

私は追いかけた。

商人を。

いや、その護衛をしている冒険者たちを。

顔馴染みだ。

行動はわかっている。

すぐに見つかるだろう。

見つかって。

どこー!

一ヶ月ぐらい経過した。

仕事をサボっていることが怖いけど、ボスに怒られるよりはマシだ。

そして、やっと見つけた!

シャシャートの街の『マルーラ』にいた。

そこで、めちゃくちゃ酔ってた。

こんなに酔うなんて珍しい。

だけど、いまはそれどころじゃない。

早く酔いを醒まして財布を取り戻さないと……

ええい、飲むのをやめろ。

「おいおい、メイドの姉ちゃん。

乱暴はいけねぇ。

そして、今日のこいつには酒を好きなだけ飲ませてやってくれ」

私はその冒険者と一緒に飲んでいる男から、絶望の言葉を聞いた。

「こいつ、財布を盗まれちまったんだからよー」

生活リズムを戻さなければいけないので、次の更新は少し遅れます。

すみません。