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始祖さんの帰りを待っているあいだの村での出来事の続き

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始祖さんの帰りを待っているあいだの村での出来事の続き

宝石猫のジュエルが、珍しく俺の膝の上にいる。

そして、撫でてもいいぞというポーズ。

たぶん、姉猫たちの行動の 償 ( つぐな ) いなのだろう。

気にしなくていいんだぞ。

そう言ったら、撫でかたに注文をつけられた。

基本、撫でるのは背中のみ。

毛に 沿 ( そ ) って撫でる。

毛に逆らうのは駄目。

あ、もう少し強めがいいのね。

こんな感じかな?

よしよし。

そして、横で見ているクロとユキの我慢の限界を超えるまえに立ち去ると……

さすがだ。

俺は膝に 顎 ( あご ) を乗せるクロとユキを撫でながら、去っていったジュエルのことを思った。

そして、撫でているときに余計なことを考えるなとクロとユキに叱られた。

昼食の時間なので厨房に行くとスイレンとクォンが鬼人族メイドに交じって料理をしていた。

珍しい組み合わせのはずだが、それも見慣れてしまった。

それぐらい、スイレンとクォンの滞在が長い。

もうこの屋敷に住んでいると言ってもいいぐらいの馴染みっぷりだ。

まあ、部屋は余っているから住むのはかまわない。

ただ、スイレンやクォンがいた場所から戻ってくるようにとの 嘆願 ( たんがん ) 書が届けられることはどう思っているのかな?

ギラルですら、数回は帰っているぞ。

完全に無視するのはどうかと思うのだが……

二人はちゃんと村で仕事もしてくれているし、嘆願書は俺宛じゃない。

なので、俺からはなにも言わない。

ギラルのところみたいに、俺宛に嘆願書が届いたら考えることにしよう。

俺は厨房の料理の進み具合を確認して、マークとヘルゼ、それにドマイムを呼びに行く。

ヘルゼはハクレンの部屋の前をうろうろしていた。

これも見慣れた光景だ。

別に入室を禁止されているわけではないが、出産が近いハクレンに気遣って入らないようだ。

それはうれしいが、ハクレンが部屋から出ようとすると隠れるのはどうなのだろう?

不審者だぞ。

そしてマーク。

ヘルゼを陰から見守るのはかまわないが、天井の 梁 ( はり ) にしがみつくのはやめてくれ。

ザブトンの子供たちが困っている。

親子なんだから、普通にヘルゼの横にいたらいいじゃないか。

嫌がられる?

そんなことはないと思うぞ。

なんにせよ昼食だ。

食堂に集合。

ん?

どうしたヘルゼ。

ハクレンのところに昼食を運びたい?

気持ちはうれしいが、それは俺の仕事なので取らないように。

つぎはドマイムだが……たぶん、ダンジョンだな。

外出の服を着て屋敷の玄関を開けたら、向こうからやってきた。

ドライムも一緒か。

二人とも 籠 ( かご ) を背負っているから、一緒にモヤシの収穫でもしてくれたのかな。

助かる。

モヤシは最近、 五村 ( ごのむら ) のラーメン通りで需要が高まっているからな。

まあ、需要が高まる原因は俺がモヤシを使った大盛りラーメンを教えたからなのだが……

五村でもモヤシ栽培を始めるべきか、真剣に検討すべき案件になっている。

ただ、モヤシは豆類を暗い場所で発芽させ、ひょろ長く、そして柔らかく成長させたもの。

【万能農具】を使わない場合は、ちゃんと畑でモヤシにする豆を育てなければいけない。

それなりの広さの畑を用意し、暗い場所も必要と考えると、モヤシはなかなか手間がかかる。

豆から育てるのは簡単なんだけどなぁ。

あとでよく考えよう。

ドライム、ドマイムからモヤシの入った籠ごと受け取り、食堂に行くように勧める。

俺?

俺はこのモヤシを五村に運ぶ荷物置き場において、着替えたあと、ハクレンに昼食を運んでから行くよ。

そう言ったのに、ドライム、ドマイムは俺と一緒に行動した。

食堂。

ドース、ライメイレン、ヒイチロウ。

ギラル、グーロンデ、グラル。

マーク、スイレン、ヘルゼ。

ドライム、ラスティ、クォン、ドマイムの四組に分かれ、それぞれが席についている。

四人席というかコタツだからな。

俺はドースたちのいるコタツにお邪魔する。

昼食の内容は肉多めの肉野菜炒め、卵焼き、ご飯、みそ汁、漬物の定食。

とくに好き嫌いで揉めることもなく、食事が開始され、終了する。

うん、ヒイチロウもよく食べるようになった。

もうすぐお兄ちゃんだしな。

食事のあと、一緒にハクレンのところに行くか?

食器を回収しなきゃいけないからな。

いや、ドースやライメイレンも一緒に行きたいならべつにかまわないが……

そんな食後の会話をしていたら、悪魔族の助産婦の一人がやってきた。

ハクレンのお産が始まったそうだ。

二時間後。

ハクレンはあっさりと子供を出産。

男の子だ。

そして、めっちゃ光っている。

……

ヒイチロウのときにはこんな発光はなかったはずだ。

これは大丈夫なのだろうか?

ドースやライメイレンは落ち着いている。

自然に収まる?

そうなのか?

わかった。

そして、ハクレンが出産した子はもう一人。

今回は双子だった。

助産婦の何人かは双子を予想していたが、確実ではなかったので俺には伝えなかったそうだ。

二人目は女の子で、黒い闇に覆われている。

これも大丈夫なんだよな?

自然に収まるんだよな?

そうらしい。

よかった。

とりあえず、出産を手伝ってくれた助産婦たちに感謝を。

息子を取り上げるときに光で目をやられたうえに、娘を取り上げるときは黒い闇で目隠し状態みたいな感じだったらしく、かなり大変だったそうだ。

出産中、ライメイレンが手伝いで呼ばれたぐらいだからな。

あのときは少し緊張した。

ライメイレンの魔法で、息子の光と娘の闇を抑えこむ必要があったらしい。

なんにせよ、母子ともに健康。

よかった。

ただ、問題が一つ。

息子が生まれるとばかり思っていたので、その名前しか考えていなかった。

娘の名前、どうしよう。

ハクレンと名前会議をしたいが、出産後の疲労で眠っている。

俺一人で考えるのか?

無謀だ。

俺にネーミングセンスはない。

ドース、嬉しそうに提案しないように。

この場で決められないから。

だが、参考にはさせてもらおう。

決定はハクレンが起きてからで。

今回の話

宝石猫、撫でてよし。

ドラゴン一族、仲良し。

ハクレン、双子を出産。

子供、めっちゃ光る、めっちゃ 闇 ( やみ ) る。