LNCrawler

ドラゴンと雪山

異世界のんびり農家 — ncode.syosetu.com · All chapters

ドラゴンと雪山

昼過ぎ。

俺は雪山に向かった。

子供たちは雪山で食事をしたらしいので、差し入れは甘い物でいいかな。

イチゴ……いや、ドライフルーツにしようか。

ドライフルーツ。

果物を乾燥させたものだ。

果物の水分を減らしているので甘味が凝縮される。

フルーツをそのまま食べるのとは違った味わいが楽しめる。

そんなドライフルーツを村では何度か作っているが、ほぼ全て妖精女王のオヤツになってしまっていた。

作った量が少なかったからだろう。

村の住人たちがそれを受け入れているので問題にはしないが、住人の口に入らないのは困ったことだ。

対策として果実エリアを拡張して果物の生産量を増やし、ドライフルーツを作る量を増やした。

お陰で、村の住人たちの口に入るようになった。

評判は悪くない。

魔王やマイケルさん、ドライムたちの口にも入り、持ち帰りたがったが当面は村の外に出す予定はない。

多く作ったから、失敗もそれなりに出るんだ。

厳選はしているが、万が一にでも外に出したものに失敗が混ざったら困る。

村の中でなら笑い話だが、外向けでそれをやると信用問題だ。

村の外に出すのは、もう少しドライフルーツ作りの技術を育ててからにしたい。

ちなみに、 干 ( ほ ) し柿もドライフルーツの一種だが、こちらは村の初期段階から毎年、一定量を作っているので技術が育っており、失敗はほぼない。

ラスティという干し柿愛好家のおかげだな。

干しイモ……干しイモはドライフルーツに含めていいのかな?

梅干しは……悩む。

変なことを考えているあいだに、雪山に到着。

おお、子供たちが雪山を思い思いに 滑走 ( かっそう ) している。

スキー板、ソリに……スノーボードみたいなものも使っているな。

ん?

椅子にスキー板を装着したのはなんだ?

座りながらお茶を楽しめる?

そうかもしれないが、それは楽しいのか?

まあ、なにごともチャレンジする 姿勢 ( スタイル ) は悪いことじゃない。

ああ、このドライフルーツは差し入れだ。

分けて食べてくれ。

鬼人族メイドたちが温かい昼食を用意しただろうし、いまも体を温める用にスープが用意されている。

いや、この匂い。

ただのスープじゃないな。

スープカレーのようだ。

うん、雪山にスープカレーはいい。

合う。

しかし、スープカレーとドライフルーツは合うのかな?

ドライフルーツは甘いが、生の果物に比べてインパクトが弱い。

選択を間違えたか?

スープカレーがあるなら、ここは……なんだ?

ラーメン?

焼きそば?

蒸 ( ふ ) かしイモ?

いやいや、雪山で遊び、疲れているだろう子供たちに甘いものをと思ったのだ。

つまり……なにがいいんだ?

温かくて甘いもの。

そして、スープカレーと 喧嘩 ( けんか ) しないもの。

……

焼きトウモロコシが正解か!

「ドライフルーツ、おいしー」

子供たちの声に、我にかえる。

そうかそうか。

ドライフルーツは美味しいか。

……

鬼人族メイドたちは、カレーにドライフルーツを入れていた。

……

なるほど、勉強になる。

俺も一杯、もらえるかな。

ドライフルーツの入ったスープカレー。

悪くない。

今度、自分でも作ってみよう。

ところで、少し確認したいのだが……

あの雪山の頂上から 麓 ( ふもと ) まで伸びているロープはなんだ?

子供たちがあれを使って上に登るためのもの?

少し前まで、ドラゴンたちが子供たちを上まで運んでいたが、子供たちが自分で登りたいと言ったので設置されたと。

なるほど。

滑 ( すべ ) るだけでなく、登ることにも楽しさを見つけたか。

違う?

ドラゴンたちがヒイチロウとグラルを 優遇 ( ゆうぐう ) するのを、ヒイチロウが嫌がったのか。

グラルもそれに賛成と。

そうかそうか。

あ、椅子にスキー板を装着したものはドラゴンたちに運んでもらうのね。

さすがにあれは子供たちじゃ運べないから、仕方がないか。

しかし、子供たちを運ばなくてよくなったドラゴンたちが少し寂しそうだが……

そう心配した俺を見てか、ティゼルが率先して小さい子たちをドラゴンのもとに送った。

ドラゴンたちの反応は……

おお、渋々という態度ながらも尻尾がパタパタしているのは喜んでいるのかな?

頼られて悪い気はしないようだ。

その日、日が落ちるまで子供たちは雪山を楽しんだ。

翌日。

雪山の頂上と麓を結んでいたロープが、リフトになっていた。

リフトと言ってもスキー場にある椅子のあるリフトではなく、昨日と同じようにロープが張られているだけ。

ただ、昨日と違ってそのロープは頂上に向かって移動している。

つまり、子供たちはロープを持つだけで頂上まで登れるわけだ。

子供たちがキャッキャッしながらロープを掴み、登っている。

山エルフたちが、頑張りましたという顔をしている。

設置は巨人族やハイエルフたちね。

ありがとう。

動力はどうなっているんだ?

ゴーレム?

便利だな。

安全面は?

子供が扱うことがわかっているから、厳しくやってる?

よかった。

じゃあ最後。

リフトに役目を取られて落ち込んでいるドラゴンたちはどうするんだ?

とくにギラルが落ち込んでいる。

グラルは……ヒイチロウと一緒にリフトを利用している。

それも大丈夫?

どうするんだ?

スキー板?

ソリ?

ボード?

子供サイズじゃないな。

大人サイズだ。

つまり、ドラゴンたちも、人の姿で滑ればいいと。

子供たちと一緒に遊べばいいということか。

なるほど。

悪くないと思う。

ヒイチロウとグラルが降りてきたら、誘うように……

いや、俺が誘おう。

ヒイチロウとグラルが誘うと、断れないだろうからな。

その日は、ドラゴンたちは子供たちと一緒に雪山を楽しんだようだ。

もちろん、俺も。

うん、スキーは難しい。

ソリがいいね。

安全。

お待たせしました。

首と背骨の痛みが和らぎ、動けるようになりました。