空気の入れ替え
空気の入れ替え
世界樹に雪は積もるのか?
答え、積もる。
しかし、世界樹に雪が積もっているところを見たことがない。
世界樹にいる巨大な蚕が雪を払っているのだろうか?
いや、冬の巨大な蚕たちは冬眠というか 繭 ( まゆ ) に入っているよな。
雪を払ったりはしないはず。
となると……
フェニックスの雛のアイギスの保護者である 鷲 ( ワシ ) が誇らし気に鳴いた。
なるほど。
鷲がなんとかしていたのか。
……………………
なんとかってなんだ?
どうしていたんだ?
見てろ?
鷲が世界樹の一番高いところに止まり……枝を小さく揺らした。
すると、世界樹のすべての枝が大きく揺れた。
おおっ、すごいな。
それで雪を払っていたのか。
えーっと、それって鷲の技か?
それとも世界樹の性質?
両方?
へ、へー。
便利でいいな。
あ、巨大な蚕たちは大丈夫なのか?
揺れで落ちたりは?
あの程度の揺れは問題にならない?
それならよかった。
ところで鷲よ。
アイギスはどうした?
お昼寝中?
昨日の夜からぐっすりと。
……
それって、寒いから二度寝してるだけじゃないか?
まあ、別段、なにか急ぎの用事があるわけじゃないから二度寝してようが、昼寝してようが、問題はないけど。
元気ならよし。
冬というのは、家に篭りがちになる。
寒いからというのもあるが、雪で外出しにくいからだ。
しかし、だからと家に篭ってばかりでは不健康。
あ、いや、広い屋敷なんだから運動不足にはならないとか、そういうことではなく。
外の空気を吸う必要がある。
だから、天気のいい日はできるだけ外に出るようにしている。
それは俺だけでなく、ほかの住人たちもだ。
……
まあ、出たがらない者もいるが。
少しでも外に出ることを、推奨したい。
そして、忘れてはいけないのが部屋の空気の入れ替えだ。
これは冬に限らず大事なことだが、冬は意識しないと窓を開けないから。
外が大雨とかではない限り、一日一回はやっておきたい。
まあ、鬼人族メイドたちがしっかりやってくれるんだけどな。
しかし、空気の入れ替えに抵抗する勢力がある。
空気の入れ替えをすると、部屋が寒くなる。
べつに今、やらなくてもいいじゃないか。
明日、明日やるから。
コタツに入りながら、不動の構えでそう言うのは、文官娘衆や天使族。
もちろん、鬼人族メイドたちはそんな抵抗をものともしない。
無言で部屋の窓を全開にし、空気の入れ替えをしていく。
文官娘衆や天使族の悲鳴や文句を完全に無視し、次の部屋に向かう。
クロたちは協力的だ。
抵抗しても無駄だとすでに学習している。
なので、すでに空気の入れ替えが終わった部屋に移動するのがベストと理解している。
猫たちも同様。
父猫ライギエル、母猫ジュエル、姉猫たち、妹猫たちは無駄なことはしない。
姉猫たちと一緒にいる虎のソウゲツは、お気に入りのポジションを明け渡すことに少し抵抗するが、寒さに負けて移動する。
虎って、寒さに強いイメージがあるけどな。
あ、いや、虎にも種類があるんだったか。
アムール虎とか、ベンガル虎とか。
寒さに強いのはアムール虎で、体毛が長いんだったな。
虎のソウゲツは……
虎の種類を見分けられるほど、虎に詳しくないのでよくわからない。
俺の知らない種類かもしれないし。
なんにせよ、室内ばかりだったから寒さに弱い……いや、快適な空間にいたいと思うのは誰もか。
思いっきり抵抗するのは、ドラゴンたち。
ハクレンもラスティも、べつに寒さに弱いわけじゃないのにな。
「気分の問題よ、気分の」
「そうです。
暖かく過ごしているのに、急に窓を開けるのは酷いです」
急にと言うが、毎日のことだろ?
時間もほぼ一緒だし。
「むー、そんなことを言うなら村長に温めてもらおうかなー」
「あ、いいですねー」
はいはい。
俺がハクレンとラスティを引きつけているあいだに、鬼人族メイドたちが空気の入れ替えを行なった。
同じドラゴンでも、ドースたちは自主的に空気の入れ替えをしているんだけどな。
「ヒイチロウたちが来るかもしれんからな。
空気を入れ替え、温めておかねばライメイレンに叱られる」
なるほど。
「ちなみに、子供たちが喜ぶ菓子も用意している」
日持ちしそうな菓子だな。
ドースの手作りか?
「こちらの菓子はそうだ。
ギラルと一緒に作った。
そっちにあるのは、ここの鬼人族が作ったものだ」
へー。
思ったより、よくできている。
「うん。
だから自慢したら、ライメイレンが拗ねてしまってな」
……
「仕方なく、ヒイチロウたちと一緒に菓子作りをするのはどうだと提案したんだ」
それで、ライメイレンはいないのか?
「ヒイチロウたちがここの菓子を見る前に、連れて行ってしまった……」
ええっと、……お茶しようか。
「うん」
ドースの作った菓子は美味しかった。
台所で爆発騒ぎがあったとの報告を受けた。
怪我人はないらしい。
よかった。
そして、爆発騒ぎを乗り越えて完成したお菓子。
ライメイレンとヒイチロウ、グラルの合作は………………
頑張った味と言わせてもらおう。
大丈夫だ。
食べられる。
でも、たぶんだけど、鬼人族メイドたちの指導、聞かなかっただろ?
うん、従わなかったら、聞いていないのと同じなんだ。
今度からは聞くように。
頬を膨らませるライメイレンの姿は、さすがハクレンの母だと思った。
そっくりだ。
更新が遅れ、すみません。
花粉症で、鼻と喉がやられております。
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