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いろいろと準備

異世界のんびり農家 — ncode.syosetu.com · All chapters

いろいろと準備

●登場人物紹介

メットーラ ウルザたちの世話係だった混代竜族。現在、新婚中。

トーシーラ メットーラの妹で、ライメイレンの部下。

●修正 蒸気機関部分の説明を修正しました。すみません。(2026/1/28)

まだまだ寒い冬が続くが、幸いなことに昼の天気はいい。

俺は服を着こんで、村を見回る。

俺と一緒にいるのはハクレンとグラル。

なかなか珍しい組み合わせになったのには理由がある。

まず、ライメイレンが仕事で身動きがとれない。

メットーラの妹のトーシーラが昨晩、村にやってきてライメイレンに大量の仕事の書類を渡していた。

ライメイレンは最近、この村にずっといたからなぁ。

そしてヒイチロウは、お菓子作り中。

やってみたら、なかなか面白かったらしい。

グラルもヒイチロウにつき合ってお菓子作りかと思ったら、ヒイチロウと離れてハクレンのところに。

うん、やっぱりハクレンとグラルの組み合わせは珍しいな。

「そんなことないわよー。

いろいろと手伝ってくれているしー」

へー。

俺がグラルを見ると……

「将来の義母だから、関係構築は大事」

なるほど。

外堀はしっかりと埋めるのか。

考えてみれば、ドマイムに運命を感じたクォン。

彼女も、ドマイムの母であるライメイレンや、姉であるハクレン、スイレン、セキレンからドマイムと結婚するための賛同は得ていた。

外堀はしっかり埋めていたわけだ。

ドマイムの父のドース、兄になるドライムや義理兄になるマークスベルガークは中立寄りだったらしいが。

なんにせよ、力任せというわけではないのは、いいことだ。

……

そういえば、ハクレンのもう一人の息子であるヒカルに運命を感じたヘルゼはどうした?

ヘルゼルナーク。

ハクレンの妹であるスイレンと、マークスベルガークの娘。

最近、姿を見ないが?

「ライメイレンさまが配達を頼んで、あっちこっちに飛び回っているはずです」

グラルが教えてくれる。

そうだったのか。

村から出ないと思ったけど、ヘルゼも外堀を埋めている最中か?

いや、それならグラルのようにハクレンに近づくか?

ハクレンのそばなら、ヒカルもいるし。

「あまり小さいときからかまいすぎると、ヒカルから妻じゃなくて母として認識されちゃうって、お母さまが気を使ったのよ」

そうなんだ。

ん?

ドマイムのときは、卵の段階からクォンが面倒をみたと聞いているが?

「あのときは、お母さまもいろいろと忙しかったから」

ハクレンが目をそらしながら言ったので、たぶんハクレンがなにか問題を起こしていた時期なのだろう。

家出中だったときとかかな?

まあ、ヒイチロウと違って、ヒカルはまだまだ子供。

しばらくは様子を見たい……

?

あれ?

俺、いつのまにかヒイチロウはグラルとくっつくんだろうなぁと考えている。

グラルによって俺はすでに埋められている?

そんなふうに考えたとき、俺の服のなかがごそごそと動いた。

そして俺の服の胸元から顔を出すフェニックスの雛のアイギス。

「あー、アイギスで温まっていたんだー。

ずるーい」

ずるくない、ずるくない。

「ずーるーいー」

ハクレンがアイギスを引っこ抜き、グラルにパスすると、空いた俺の胸元にハクレンが手を突っ込んできた。

冷たいっ!

冬の空を見上げると、万能船と飛行船が並んで飛んでいた。

時間的に、四村からの帰りだろう。

本来なら、万能船か飛行船のどちらかで輸送量は足りるのだけど、単独運航は万能船が嫌がったんだろうな。

少しして、万能船に乗っていたベルが、屋敷に到着する。

ベルの部屋を屋敷に用意してから、何度目かの訪問だ。

「やはり、こちらの屋敷にいると、入ってくる情報の量が違いますね」

四村にいると、どうしても四村以外のことは思案の外になるそうだ。

「でも、大樹の村のことは、ちゃんと考えていましたよ」

それはなにより。

ああ、大樹の村にこだわる必要はないぞ。

転移門を使って、五村とか王都を見回ってくれてもかまわないからな。

ベルが外に出たのは、オークションのときだけだったか?

どこか行きたいところとか、見たいところはあるか?

「そうですね。

シャシャートの街にいる、ミヨの働きをみたいですね」

?

ミヨになにか気になることはあるのか?

「ミヨから村長に届けられる報告書がありますよね?」

あるな。

「手抜きがあります。

指摘しておかないと」

そうなのか?

「ええ。

オークションで関わったキッシンリーを部下にして、余裕がでたのでしょう。

ミヨは優秀なのですが、余裕がでるとすぐに気を抜くので……」

な、なるほど。

「大丈夫です。

暴力は使いません」

う、うん、そうだな。

頼んだぞ。

「ええ。

ですが、様子を見に行くのは後日で。

今日は温泉地のほうにまいります」

ああ、のんびりして来てくれ。

「ヨルがいるので、のんびりできるかわかりませんけどね」

ははは。

変なことをしてたら、叱ってやってくれ。

まあ、ヨルもクリムが来てからかなり大人しくなったけどな。

「だといいのですが……」

まあまあ。

あ、温泉地に行くなら適当に酒とか食べ物を持っていってやって……荷物になるか?

「大丈夫です。

小型の浮遊庭園で、楽に運べますので」

そうか。

それじゃあ、頼んだ。

「はい」

雪の積もる村の道を、バイクが移動していた。

このバイクはマアが開発したものを、山エルフたちが転移門で確認に行き、 模造品 ( コピー ) として作ったものだ。

「こういった機構は、マアが優秀ですから。

ですが、まだまだ改良できますよー」

山エルフたちは、バイクの性能にまだまだ満足していないようだ。

まあ、そうだろう。

バイクからはドッドッドッと力強い音がするが、速度は人が歩くより少し早い程度。

バイクを知っている俺としては、かなりの低速。

その理由もなんとなくわかる。

タイヤ幅が広い。

すごく広い。

えーっと、だいたい六十センチぐらい。

トラックのタイヤよりも広いんじゃないかな。

大きさはそこまででもないけど。

タイヤが重くて速度がでないのだろう。

あとは、タイヤの接地面積が大きいから、このバイクのハンドル操作にはかなり力がいるんじゃないかなと心配になる。

このバイクを現在、操作しているのはフウマ。

山エルフたちは、アルフレートの護衛につくさいにこのバイクを移動手段として持っていってほしいらしい。

……

アルフレートは喜ぶかもしれないが、この速度だと馬車のほうが優秀じゃないか?

速度を出す改良案としては、タイヤを細くして数を増やすとか。

「絶対にタイヤの数は増やさないでと、マアから泣いて頼まれています」

なぜ二輪にこだわるんだ?

ま、まあ、そういったこだわりがないと、新しい物は生まれないか。

えーっと、それじゃあタイヤをもう少し細くして……

「それだと走行中に倒れますよ?」

いや、速度を出していれば倒れないだろ。

「…………なるほど!

倒れる前に前進ということですね!」

げ、原理としてはそうだ。

「ですが、停止中はどうします?

倒れますよ?」

スタンドをつけなさい、スタンドを。

「スタンド?」

あー、停止中に出す足だ。

「おおおおおおおおっ!

さすが村長、発想の天才!」

いや、完成形を知っているだけだから。

でも、俺の知っているバイクとは大きく違って、目の前のバイクは薪燃料だからな。

ああ、だから転倒を恐れ、あのタイヤの太さが採用されたのか。

止まった模造品バイクに、フウマが薪をくべていた。

あ、水もいるのね。

あれ?

内燃機関じゃなかったっけ?

蒸気機関は外燃機関だぞ?

外燃機関は内燃機関の補助として使っている?

そうなんだ。

なんにせよ、転倒は駄目だな。

ごめん。

タイヤ幅の件と、スタンドの件はなしで。

「えー」

グラル 「村長とハクレンさんのイチャイチャを見せつけられたときの私の気持ち、わかりますか?」

ハクレン「ご、ごめんね」

ベル  「家庭訪問です」

ヨル  「ちゃ、ちゃんとしてるわよ」

クリム 「ヨルは夜更かしして、弾を作ってます」

ベル  「……」

ヨル  「……」

村長  「馬車に使われている細いタイヤを、四つぐらい並べるのは? 前後で八輪」

山エルフ「メンテナンス性が……いや、安定性は変わらず、走破性は高くなるから、あり?」

マア  「二輪じゃなきゃ駄目です」

フウマ 「(バイクが変形するんじゃないかと期待している)」