桜の国チェリンと七聖剣【百三十】
桜の国チェリンと七聖剣【百三十】
「あっしの毒は、 揮発性 ( きはつせい ) が高いもんでねぇ。常温・常圧下では、すぐに 気化 ( きか ) しちまう。――まぁ早い話が、そこのお嬢さん方は毒ガスでやられちまったってことでさぁ」
「「……ッ!?」」
俺はすぐさま左手で、リアはハンカチで自分の口元を押さえた。
もう遅いとはわかっているが、とにかく行動せずにはいられなかったのだ。
すると――その様子を目にしたディールは、愉快げに手をパタパタと横へ振る。
「くくく、今更そんなことをしたって無駄ですよ? アレンの旦那もリアのお嬢も、既にたぁっぷりと吸い込んでいやすから」
奴は凶悪な笑みを浮かべた直後、俺たちの全身を上から下までねっとりと見つめ――やれやれと言った風に肩を竦めた。
「ただまぁ……気化して毒性の薄れたものじゃ、お二人には効き目が薄いらしぃ。 アレンの ( ・・・・ ) 旦那は ( ・・・ ) ともかく ( ・・・・ ) として ( ・・・ ) 、リアのお嬢さんも中々に丈夫な体をしていらっしゃる。ひょっとすると幻霊 原初の龍王 ( ファフニール ) の自己防衛機能が働いているのやも知れませんねぇ……」