雪合戦2
雪合戦2
「よくも私抜きで遊んでくれたわね。行くわよ、しもべたち!」
「ビアンキさん!?」
雪合戦の最中、突然聞こえた女性の声。その声の正体はビアンキさんだった。何故か中華服。というかしもべたちって?するとむくっと起き上がったのはランボとイーピン。
「勝つのは私たち!毒牛中華飯!!」
「第三勢力だと!?」
ディーノさんが驚いて声を上げた。ていうか毒牛中華飯とは…いつのまにそんなチームを結成されて?
「どーいうつもりだよビアンキ!!いきなり割り込んできて!」
「あなたにわかる?遊びに誘って貰えなかった者の気持ちが」
「拗ねてんのー!?」
ツナが聞くとどうやら誘われなかった事にご立腹らしい。いやでもビアンキさんも沢田家に居候してるしお子様枠ではないとはいえ誘われなかったのは寂しいものもしれない…。
ていうかなんだけど、ビアンキさんが現れたとなるとずっと気になってることがあって。でも今のところどうにもなってないんだよな…。私はくるっと振り返り獄寺を見た。
「ねえ、獄寺、体調は?平気なの…?」
「あれ?獄寺くん大丈夫なの?ビアンキが目の前にいるのに」
どうやらツナも気がついたらしい。今、ビアンキさんがいるのに倒れていない獄寺。しかしそれは獄寺自身も不思議に感じているようだった。
「それが俺にも…。こんなことが前に一度だけありました。姉貴が秋分の日にリスの着ぐるみを着ていた時です」
なんかナチュラルにおかしなことを言う獄寺。リスの着ぐるみって何。どういう状況だ。何してるんですかビアンキさん…。でも前にもあったとすると、そこに何か共通点がある?
「あっ、被り物繋がり…ビアンキの顔が仮面で隠れてるからかも」
「え、あのゴーグル?顔の一部が隠れてればいいってこと?」
ツナが気付いた共通点。今日のビアンキさんはゴーグルを身につけている。え、そんな感じでいいの?すると当の獄寺はそれでしっくりきた様子。
「はっ、そうかもしれない!…ということは、遂にやったぜ!とうとう姉貴を克服したんだ!!」
「いや…克服ではないかと…」
「うん、違うと思うそれ…」
なんか本人凄く喜んでるけど克服ではないでしょ…。多分あのゴーグル取ったらアウトだろうし。でもこんな解決策があったっていう発見は大きいのかもしれない。
「3チームになったことだし、雪合戦のルールを変えねーとな。レオンを奪い合うのは今までどーりだが、今回はつかまえた時点で勝ちだからな。ただし、今度のレオンは逃げるぞ。レオンターボだ!」
リボーンはルールを変更すると言う。そして玉状のレオンを手に取ると、レオンはその姿をラジコンの車のように変化させた。今度は自分で走って逃げる…だから捕まえたら勝ちと。
「んじゃ、第2ラウンドスタート!」
リボーンが手を離すと猛スピードで走っていくレオンターボ。始まった第2ラウンド。しかしこれがまたまた酷かった…。毒牛中華飯チームは毒入り雪玉をぶん投げる。キャバッローネチームは実弾入り雪玉。もはや戦争ですか…。
「ナマエ姉~!やっと一緒に遊べるね!」
「フゥ太…」
フゥ太は私のところに来て嬉しそうに抱き着いてくれた。やだ、可愛い。ちょっとキュンとした。でもそんな彼はなんだか様子がおかしい。なんだかもじもじそわそわしているような。
「ねえ、ナマエ姉、僕やっぱり我慢出来ないよ」
「え?」
「みんな揃ってるんだもの。ランキングせずにはいられないよ」
「…へ!?」
その瞬間、私たちボンゴレチームの周りにぶわっと地面の雪が舞い上がった。あ、これあの星との交信!?辺りが無重力みたいになるやつ!!
そしてそれは今回、舞い上がった雪が防御壁のようになり、敵の攻撃から私たちを守ってくれていた。え、意外な効果が。
「武兄、やっぱり凄いや。走力8万223人中213位。この中では断トツだよ。隼人兄の火力も8万223人中116位。この中では断トツだ。ここは僕の壁と隼人兄の火力で敵を足止めしている間に武兄がレオンを追っかけるのが得策だね」
しかも分析力すげえ…。情報は武器。ランキング能力ってやっぱり凄いんだな…。
「なるほど。オフェンスとディフェンスにわかれんだな」
「そいつでいきましょう!この雪合戦絶対勝ちましょう!」
山本と獄寺はやる気満々。
まあ山本が追いかけるのが良いのはわかる。でも獄寺の火力って言うのは…。
「2倍ボム!!」
「どっかに雪使おーよ!!」
雪要素皆無のただのダイナマイト。もはや雪合戦とは一体って感じの獄寺。10代目も突っ込んでますよ自称右腕さん…。
でも投げてしまったものはどうにもならない。「ぐぴゃあ!」とランボの悲鳴が聞こえた。ディーノさんの部下もひとり巻き込んで爆発。
「おい、ナマエ、どうだ見たか!」
「…いや見たかと言われても。得意げな顔されても困るんですけど」
敵を落とした獄寺は満足げな顔をして振り向いた。何を言えと。
…さっき部下の人たち出てきてからディーノさん褒めたのそんなに気に食わなかったか。
そんな一方で、次は山本の出番。
「ラジコンはあそこだな」
山本は逃げているレオンに視線を向ける。レオンは器用に手すりを伝い、外階段を上っていた。でもそれを見ていたのは山本だけではない。
「お先!」
タッ…と軽快に先を越していったのはディーノさん。わあ、ディーノさん部下の前だと足も速いなあ。
「ああ!先を越された!」
「まあ落ち着け、ツナ。俺に任せとけ!」
そして山本も駆け出す。おお、流石ランキング断トツの走力。山本のスピードはこれまたズバ抜けていた。
これでディーノさんと山本の一騎打ち。どうなるだろう。純粋に興味深い戦い。でもそこには問題があった。外階段の上にはキャバッローネの部下の人がいない。
「おわっ!」
「なっ!?」
雪に足を滑らせたディーノさん。その体は大量の雪を纏い、大玉となって階段を落ちてくる。山本はそれに巻き込まれ…。
ドシャーン!!
「わりーな」
「ったく~」
雪玉の中で動けなくなってしまったふたりはその場でリタイア。顔だけ出してふたりとも全然元気そうだけど…。
でもこうなると、このあたりでだいぶ人数は絞られてきた。
「ラッキーだわ!これで主力はだいぶ減ったわね。残るはツナ、隼人、ナマエ、フゥ太、そしてロマーリオのみ」
「そいつぁーどうかな。ダイナマイトで解けた雪の上にあいつを落としちまったみたいだ」
ここそとばかりに毒雪玉を投げてくるビアンキさん。しかしそれを聞いたディーノさんは不敵に笑う。あいつ…って?そう思った瞬間、ドーン!!!と巨大な影が現れた。
「エンツィオ!!!」
ツナが叫ぶ。エンツィオはディーノさんが飼っているスポンジスッポン。スポンジスッポンは水を吸収した分だけ巨大化してしまう。前にディーノさんに連れて行ってもらった秘境の山の中でも一度見てるけど…学校でこんなの暴れたらヤバいのでは!?
「なぜ山の神がー!?」
「すごい…僕が見て来た動物2万2126匹のうち凶暴性でかさ共に1位!!」
「そんなことしてねーで祈れ!!」
絶叫する獄寺とランキングをしてるフゥ太。獄寺…あいつ意外とあーゆーとこあるんだよな…。オカルト好きというか…そういうの信じてたりとか。今もひとりでぶつぶつ祈ってる。
するとそれを見たビアンキさんが慌てたように走り出した。
「何をしているの!?逃げなさい隼人!隼人!!」
「ごぱっ!!!」
あ、ビアンキさんゴーグル外した。獄寺倒れた。やっぱり顔の一部が隠れてれば平気なんだな。証明出来たじゃん。それはそうとビアンキさんってやっぱ弟の事は可愛がってるんだよなあと…。ま、獄寺は気絶してしまったのでここでリタイア。
「ね、ねえ…ナマエ。エンツィオのやつ大人しいんだけど…」
「え?」
その時、ツナにエンツィオを見るように肩を叩かれた。確かに直立したままピクリとも動かない。
「冬眠の時期だからな」
リボーンによればそれは冬眠の時期だから。つまりあれ、寝てる?
しかし眠ったまま立っていることは出来ない。バランスを崩したエンツィオはその巨体をぐらっと揺らしこちらに倒れてくる。…って、ちょちょちょ!?
「うわああああ!?!?」
「っ…ツナ!!!」
狼狽えて叫ぶだけのツナに私は咄嗟に飛び掛かった。ふたりでズザッ…と雪の上に転がる。
バダーンッ!!
その瞬間、物凄い音を立てて倒れたエンツィオ。
「ひー!!あぶねー!!ナマエありがとー!!」
「う、うん、セーフ…」
私とツナはギリギリ被害を免れた。でもこれ…残ってたビアンキさん、イーピン、フゥ太、ディーノさんの部下のロマーリオさんは巻き込まれたのでは…。
「え!もしかして残ったの俺とナマエだけー!?」
「…かもしんない」
周りを見たらもう誰もいなかった。残ってたのは私とツナのみ。…そういや獄寺、フゥ太の近くにいたから気絶ついでにエンツィオにも巻き込まれたかな。だとしたら憐れだ…。
「強運もボスの資質だぞ!ナマエもよくボスを守ったな、いい秘書だ!」
「おう!やっぱナマエはやるよな!ツナ、ナマエ、あのラジコン捕まえてケリつけてこい!」
「え!?」
「ええ…」
巨大雪玉の中からディーノさんと山本にエールを送られた。いや…ディーノさん、私秘書じゃないです本当に。
「そーしてやれ。でないと皆の魂もうかばれないぞ」
「勝手に殺すなー!!」
そして縁起でもないことをいうリボーンにツナが怒る。でもこれ後でみんなの救出作業しなきゃな…。大変そうでちょっと気が重い。
「あっ、ナマエ!あそこ!いた!レオンターボ!」
「えっ」
ツナが雪の中に走るレオンの姿を見つけた。とりあえず追いかけるか…。私とツナは同じチームだし、別にどっちが勝ってもなんでもいい。…いや、パシリの件はどうなったんだろう。私も参加しちゃっているし。リボーンってノリで生きてるよな…。
「こんなんで勝っちゃっていいのかな~、あとで恨まれないかな…?」
「いや別に恨まれはしないだろうけど…」
「うわっ!」
「え」
レオンを追いかけていた途中、ツナが雪に足を取られてズッコケた。それを見て私の足も止まる。…ドジツナ。
すると走っていた先にパシッとレオンを掴み上げる手があった。
「なにこれ?あとそこのデカいカメ」
「「雲雀さん!!」」
ツナと声が重なる。そこにたのはまさかの雲雀さんだった。日曜も学校来てるの雲雀さん!!
「折角の雪だ。雪合戦でもしようと思ってね。といっても群れる標的に一方的にぶつけるんだけど。ここで会ったのも何かの縁だ。今日は君たちを標的にしようかな」
「へ…」
「え!そ…そんなっ!ってかレオン投げてくんの~!!?」
雲雀さんの手の中にいるレオンは丸くなって震えていた。ぶん投げられると察してるご様子。ツナもビビり散らかしていて、私もぐっと身構える。ど、どうしよこれ!
しかし、その心配は杞憂に終わった。
「と思ったけど、風紀委員の仕事がたまってる。ミョウジナマエ。君、風紀委員なんだから手伝いなよ」
「え!?あ、いや…私、このカメとか…そっち片そうと思うんで…」
「ふうん、そう。じゃあそっちは任せたよ」
雲雀さんはそう言ってぽいっと軽くレオンを投げてその場を去って行った。た…助かった。
いやでも私風紀委員になったつもりないんですが!?ただ余計なこと言ってあまり刺激したくない…。難しいところだわ…。
まあとりあえず、今回は一難去っただろうか。
「はあ…ビックリした。ねえ、ツナ…ひっ!?」
「うそーーーーっ!!!!」
一安心してツナに振り向くと、雲雀さんに怯えたツナは無意識に近くにいたイーピンを盾にしていた。イーピンは雲雀さんのことが好きらしい。目をハートにして、その額には箇子時限超爆のカウントが浮かんでいる。
つ、つ、ツナのアホーーーー!!!!!!
「ああっ!爆発する!!あと二箇しかーーー!!あっ!!」
巻き起こった大爆発。その結果、結局レオンを手にしたのはリボーン。次の日、私はリボーンのパシリをさせられたのだった。
To be continued