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ボンゴレ専属武器チューナー

右腕と秘書 — www.pixiv.net · All chapters

ボンゴレ専属武器チューナー

「え、ボンゴレの武器チューナー?」

ある放課後。私は聞かされた言葉を繰り返した。すると「おう!」と楽しそうに頷いたのは目の前にいる獄寺。

「俺のダイナマイトも改造してもらおうと思ってよ!お前もその棒、改造して貰ったらいいじゃねーか」

「改造て…。いや、現状別に不満無いし私はいいかなあ…」

なんとなく、ぎゅ…と持っている棒を大事に握った。

今、沢田家にはボンゴレ専属の武器チューナーが来ているらしい。それを聞きつけた獄寺は自分の武器も改造してもらいたいと。ひいては私もやってもらえばいいじゃないかと。

そう話しかけてきた獄寺は生き生きとしていたけど、また変な話がやってきたなあとしか私は思わないのである。

「ボンゴレ専属チューナーといやあ、チューニングすると武器が目を覚ますと言われるほどの名チューナーだって話だぜ。まあ、今来てるのはその息子らしいけどな」

「武器が目を覚ます…?」

「興味出てきたか?」

「うーん、どうだろ。ていうか今日って…」

「なんだよ?」

「いや…」

沢田家に来ている武器チューナー。でも沢田家と聞くと、私にはちょっと引っかかることがあった。

今日って確か、小学生の時の夢について調べるって課題で京子がツナの家に行くって言ってたような…。ツナも京子ちゃんと同じ班だーって喜んでたやつ。

…うーん、なーんか嫌な予感がするな。

「ん…まあ、武器の改造はしてもらわなくていいけど、なんとなく気になるから行こうかなあ」

「秘書だろ。おめーもボンゴレ関係者と顔なじみになっておけよ」

「だから秘書じゃないっての…」

ボンゴレ関係者と顔なじみとか心底どうでもいいです。でも京子が来るとなると、放っておくのもいかがなものかという気持ちにはなる。京子が変な騒ぎに巻き込まれても嫌だし、その点だけが気がかりだった私はひとまず沢田家に行ってみることにした。

「10代目、失礼しまーす!!俺のダイナマイトも改造してもらいに来ました!!」

「獄寺くん!!」

「スモーキンボム様ですな」

「うわ、凄い。武器まみれだ…」

「ナマエ!!」

獄寺と一緒に訪れた沢田家。ツナの部屋に入ると部屋中が武器だらけで凄いことになっていた。これは…部屋に京子呼べないな。

獄寺と私の訪問に驚くツナ。そしてその傍には何やら不思議なマシーンに乗った七三分けの男の人がいた。…あの人が、例の武器チューナーさん?

「ジャンニーニだぞ。覚えとけよ、ナマエ」

「リボーン…今、私の心読んだ?」

ぴょんっと肩に飛び乗ってきたリボーン。今読んだよね?心の声に返事してくるの怖いからやめて欲しいんだけど。

でもやっぱりこの人が武器チューナーさんらしい。今さっき獄寺をスモーキン・ボムと呼んだこの人は、私の方にも目を向けて来た。

「やや、貴女が10代目の秘書、ミョウジ家のナマエ様ですな!」

「へ」

「わたくし、ジャンニーニと申します。以後、宜しくお願い致します」

「え、あ、これは…ご丁寧にどうも」

マシーンの中からぺこりと頭を下げられ、こちらもつい釣られてしまった。うーん、別に宜しくするつもりもそんなにないんだけど…。

するとそこに、ドタドタと騒がしい足音がひとつ。

「俺っちもー!!!」

「ランボまで!?」

「てめーはボンゴレじゃねーだろーが!!」

飛び出してきたのは10年バズーカを担いだランボだった。騒がしさが増した部屋にツナはぎょっとし、お前は関係ねーだろと獄寺は怒鳴る。

「おお、これが噂の10年バズーカか!」

しかし珍しい武器に目がないらしいジャンニーニさんは10年バズーカに心惹かれているようだった。リボーンいわく、その性格は親父そっくりとのこと。

とりあえず京子はまだ来てないのかな。私はツナの肩をつつき、こそっとそのことを聞いた。

「ね、ツナ。今日、京子が来るって話じゃなかった?」

「!!…そ、そうなんだよ!!だからこんなの絶対見られるわけにはいかなくて…!!もしかしてナマエそのために来てくれたの!?」

「んー…まあ、京子がそんなこと言ってたよなーって気になったから」

「ナマエ…!!」

なんか目をキラキラされた。いや、そんな目されても困るが。そりゃ多少協力はするけど止めきれるとは限らないし…。

そうこうしているとピンポーンという音と共に「こんにちはー!」と京子の声が聞こえてきた。

「お、俺の部屋使っていいからさ!!絶対台所来ないでくれるかな!?だ、大事な打ち合わせあるから!!」

ツナはそう言い残し、慌てて部屋から出て行った。まあでもよりによって京子が来るという奇跡の日にね。我が幼馴染ながら、相変わらず運の無い男だこと。

そしてこちらはこちらで武器の改造が始まった。獄寺のダイナマイト、死ぬ気弾、10年バズーカ。私も「いかがですか?」って言われたけど、大丈夫ですと遠慮していおいた。

「うしっ、んじゃ早速改造した武器をまずは10代目に見て貰わねーとな!ナマエ、お前も来い!行くぞ!」

「え!?ちょ、獄寺!?」

改造して貰ったダイナマイトを受け取った獄寺は部屋を出て階段を駆け下りて行ってしまった。ちょっとー!?台所来るなって言われてたよねー!?止める暇もない。仕方ないので私も部屋を出て慌てて追いかける。すると台所からツナの作文を読み上げる京子の声が聞こえた。

「僕のあだ名はダメツナです。でも母さんは今はダメでも人は変われると言います。僕もそう思います。巨大ロボになりたいです。アハハ、かわいーっ!」

京子は微笑ましそうに笑っていた。…でも、最悪の出だしのアホ丸出しだな…。まあ、多分低学年の時のだろうし、そんなもんだろうとは思うけど。しかし、そんな文章を聞き涙を流すアホもひとり…。

「ぐすっ、いい作文っスねー!巨大ってのが…」

「なぜ獄寺くんー!!?」

「あれ、ナマエ?ナマエも来てたんだね!」

「あはは…ちょっとね」

台所に入った獄寺と私に気が付くツナと京子。10代目の作文に涙ぐむ獄寺。ツナは獄寺の登場に慌て出す。京子は私に笑顔を向けてくれたけど、私の方は苦笑い。なぜならツナに何で獄寺くん連れてきてんのー!!って顔されたから。…ごめんて。

「あ…あれ?どーしてかな?部屋にいてって…」

「まずは10代目に改造して貰った武器を見て貰いたくって…」

「んなーっ!?」

「俺もまだ見てないんスよ!いきますよ!」

「ちょっ!!獄寺くんタンマ!!!」

ツナの静止も聞かず、ただ10代目に新武器を見てもらいたい気持ちでいっぱいの獄寺はガラッと庭の窓を開ける。あ…もう駄目だこれ。とりあえず窓の外ならこちらには被害は来ないだろう。それならもう適当に京子を誤魔化す言い訳を考える方にシフトした方がいい気がする。私はもはや諦めた。

「それ!!ニューダイナマイト!!!」

改造したダイナマイトをぶん投げた獄寺。きゅっ…と爆発の衝撃を覚悟する。しかし、その心配は杞憂に終わった。

パァン!!

クルックー!クルックー!

爆発は起きなかった。代わりにその場に飛び出したのは、色とりどりの風船とテープ、それから白い鳩。……へ?

「わー!面白ーい!!ね、見てナマエ!白い鳩可愛いね!」

「えっ、う、うん…?」

それを見た京子は拍手し、私の肩を叩いて喜んでいた。私はとりあえず頷いて応える。

え、でもこれが、新しく改造したダイナマイトなの?これじゃまるで…。

「パーティーグッズ…?」

「どーゆーことかジャンニーニに聞いてきます!!」

呆気にとられたツナに聞かれた獄寺はジャンニーニさんに文句を言うべく駆け足で台所から出ていった。するとそれと入れ違いでやってきたのはリボーン。

「ちゃおっス、京子」

「あ、リボーンくんお邪魔してます」

「なっ!なんでお前まで!部屋にいるんだよ!!」

「改造した死ぬ気弾が見たくなってな」

「んなーっ!!待て!!京子ちゃんの前で!!待てって!!おい!!」

どうやらリボーンも獄寺と同じく改造した武器を試しに来たらしい。ああ、一難去ってまた一難。今度こそツナ、ジエンドか…。慌てるツナの声に耳を貸すことなく、カチャッと銃を構えるリボーン。

「死ね」

その一言と共に、引き金は引かれた。しかしその弾はぴょこっと控えめに飛び出し、コンコロリン…と切ない音を響かせて床に転がった。か、改造して…威力減った?

「ジャンニーニの奴、シメてくる」

リボーンは静かにそう言うと、部屋に戻っていった。その直後、上の部屋から響いてきた家全体が揺れる勢いの騒音。ま、マジでシメてるー…。

「キャッ!な…なんの音だろ?」

「大丈夫、大丈夫!ちょっと見てくるね!!待ってて!!」

驚く京子をなだめつつ、ツナも台所を出ていく。私も一緒に出て部屋の様子を見に行った。

「静かにしてよ!!」

「10代目~!!助けてくださいっ!殺されます~!!」

「ふぎゃ!!」

「うわ、ツナ!?」

ツナが怒りながら部屋を開けるとボコボコにされて顔にあざを作ったジャンニーニさんがマシーンごとツナの上に降ってきた。潰されるツナ。そこに獄寺が来て事の説明をしてくれた。

「10代目聞いてください!こいつ武器を全部使い物にならなくしやがって!!」

「なっ、何やってんすか?ジャンニーニさん!」

「ですから言ったはずですよ。私の腕は父親には及ばないと。それに改造とは必ずしも改良ではないのです。改悪もまた改造!!」

ハハハ!!!と高笑いするジャンニーニさん。開き直っとる…。でも私、やっぱり武器預けなくてよかったな…。獄寺やリボーンの武器も少々時間はかかるものの元に戻すようにと話をつけていた。

「ねえ、ランボさんのは出来た!?」

そんな中、またやってきたちびっ子トラブルメーカー。あー…また騒がしくなりそうな。ちょっと頭が痛くなる。案の定、相性最悪な獄寺は怒鳴るわけで。

「こんな時に出てくんな、アホ牛!!」

「アホって言ったやつがアホなんだよ!」

「な!!」

鼻をほじったランボは鼻くそのついた指を獄寺の腕にくっつけた。オイオイ…ランボくんよ。まあそれは獄寺じゃなくても怒る。でも獄寺だと割り増しで怒る。プルプルと怒りに震える獄寺を見たランボもそれを察したのか、やべ…って顔をする。

「バリア!!」

「効くか!!!」

子供特有のバリアを張るランボ。でもそんなの獄寺が聞いてくれるわけない…。ゴンッと思いっきりグーで拳骨を食らわせた獄寺。ランボは大号泣…。そしてその手に取ったのは、いつものように10年バズーカ。…ん?でもあれも改造頼んでたような。

「ね、ねえ、ツナ…」

「う、うん…ジャンニーニさん、まさかあれも…」

「勿論改造しちゃました」

私とツナが顔を見ると、既に改造済みだと頷くジャンニーニさん。10年バズーカを改悪ってどんな効果が…。

ドガァン!!!

泣き叫ぶながら10年バズーカを撃ってしまったランボ。部屋に広がる煙。しかしその中から聞こえる泣き声は消えることがない。…あれ?

「うわあああ!!」

煙の中から現れたのは、泣き叫ぶ5歳児のまま何ひとつ変わっていないいつものランボ。それを見た私とツナは顔を合わせてコソコソと話した。

「…ナマエ。この人、武器壊してるだけじゃない?」

「だよねえ…」

でもつまり10年バズーカはただ効力を失ったってだけでいいのかな…?まあそれならそれで不幸中の幸いというか、変なことにならなかったなら何よりというか。

しかし、残念ながらそういうわけではなかった。

「ったく、インチキヤローだぜ。もー二度と頼むかっつーんだ!!」

ん…?

聞き慣れた、口の悪い言葉。でも…あれ?なんだか舌っ足らずというか、幼いような…?

違和感を感じて今言葉を発したであろう彼の方に視線を向けると、そこにあったその姿に私とツナは目を疑った。

「ご、獄寺!?」

「んなーっ!!!」

ち、ちいさっ…小さい!?

そこにいたのは縮んでリボーンと同じくらいの背丈になった獄寺。え、どゆこと!?もしかしてこれが改造された10年バズーカの効果って事!?

「んあ…?リボーンさん」

「なんだ」

「なんかいつも以上に身近に感じます」

「俺もだぞ」

リボーンの隣に立って、その視線の高さが同じでも自分の変化に気付いていないらしい獄寺。え、鈍感!?いやでも普通縮むとかそんなこと思わないかな…!?

「えっ?ええ!?」

「うわっ、やっぱり10代目はでかいっス!」

「はあ?」

「オーラっつうんスか?実際の身長よりでかく見えるんスよ!」

そして心配と驚きで近づいたツナにはこのコメント…。あ、やっぱただのバカのような気がしてきた…。そんな獄寺はその姿のまま部屋の外に出ようとする。

「今日んとこは帰ります。また明日、学校で。レポート楽しみにしてます!ナマエ、お前も帰んだろ?行くぞ」

「へ…!?」

か、帰…帰る…!?私の事も呼び、先に部屋を出ていく獄寺。え、あなたその姿で帰ると!?

「ちょ、ちょっと待って!獄寺!!」

「ちょっ、待ったー!!そのまま外出ちゃまずいでしょー!!」

呆気に取られて反応遅れたけどやばいやばいやばい!慌てて部屋を出ると「ひゃっ!」という京子の声が下から聞こえた。…え!?鉢合わせちゃった!?

「かわいいーっ!ボク、ランボくんと遊んでたの?」

「んだとコラ!てめー、ふざけてんじゃねえ!!兄貴もろともぶっとば…っ!!」

「ちょっ、たんま!?」

「ちょちょちょ!あんた何しようとしてんの!?」

台所に駆けつけると、やはり京子に見つかっていた小さな獄寺。子供をあやすような接し方をされた獄寺はあろうことか京子にダイナマイトをぶっ放そうとしていた。なにしてんだこの男!!ツナは急いでその小さな体を抱きかかえて止めた。

「ちょ、あっちで話し合わない?ね?」

「うわ!?流石10代目、すげー怪力!!」

…ねえ、やっぱこいつバカだよね?持ち上げられてその考えになる?

とりあえずこのままじゃ埒が明かないよね…。なんとか客観的に獄寺に自分の姿を見せないと…鏡とかないかな。脱衣所にでも連れてくか?

そんなことを考えていると、小さな獄寺は何かを見つけたようにハッと窓の外を指さした。

「あっ、10代目!電信柱に怪しい奴が!!」

電信柱…?そう言われて私たちも窓の外を見たけど、そこには何の姿もない。

「何言い出すの?何もいないよ…?」

「な!!見えないんスか!おい、ナマエ!!お前も見ろ!!」

「いや見ろと言われても…」

もう見てますが…。そして何もありませんが…。どんなに目を凝らしてみても、そこには何の姿もない。

「あれはチュンチュン、スズメさんだよ」

「バカにしてんのかてめーは!!本当にぶっ飛ばすぞ!!」

そしてまた京子にキレる獄寺。幸い京子はカワイイ~!としか思ってないけど…。

獄寺、何言ってるんだろう…?

ひとり喚くその姿に、私たちは混乱するしか出来ないのだった。

To be continued