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非公式会談②

蜘蛛ですが、なにか? — ncode.syosetu.com · All chapters

非公式会談②

本日二話目

「それでは非公式ながら、神言教と魔族との会談を始めましょう」

教皇の言葉で始まった会談。

教皇が口火を切ったのは、主導権をこっちに持ってかれないようにとか、そんな感じなのかな?

正直こういうやり取りは全部力を見せつけてゴリ押ししてきたから、細かい機微とかしきたりなんてわかんない。

まあ、主導権とかどうでもいいんで、そっちが進めてくれるんなら私は言うことなし。

ていうか、全体的に言うことなし。

「とりあえずお互い自己紹介から始めましょう。まず私から。神言教第五十七代教皇、ダスティン六十一世。以後お見知りおきを」

教皇の自己紹介が終わる。

それに続いて神言教の面々が順番に自己紹介していくけど、正直教皇と草間くん以外の人間を覚える気はない。

神言教の教皇の代が五十七に対して、彼が名乗った名前はダスティン六十一世。

その意味がわかるのが果たしてこの世界にどれだけいるのか。

それは、彼が六十回の生を終え、六十一回目の人生を歩んでいるという宣言。

それを自覚していると、それを知っていると、その意味を理解していると。

それらを踏まえた上での、名乗り。

名乗るだけなのに、その名前には、六十一回の重さがある。

あるいは、それ以上の。

「教皇ちゅっ轄暗部あ隊所属、サジンです。転生者であり、前世の名前は草間忍です」

震える声で自己紹介する草間くん。

てか、噛んだね。

なんだ、ちゅっ轄って。

直轄って言いたかったんだろうけど、おもっきし噛んだね。

隣で鬼くんが「草間?」って小さく呟くのが聞こえた。

そういえば、鬼くん草間くんとはそこそこ仲良かった気がする。

草間くんは夏目くんのグループに所属してたけど、それ以外の男子ともそれなりに話しをするタイプだったし。

夏目くんのグループに所属してたのはどっちかっていうと長いものに巻かれる的な発想で、夏目くんを慕ってたわけじゃなさそうだったしなー。

そこらへん小市民な草間くん。

人族最大の権力者のお膝元にいるあたり、今世でもそこらへん変わってないわ。

「こちらの自己紹介はこんなところです。そちらもお願いできますか? 迷宮の悪夢殿」

ブフッ!?

ちょ、なんて爆弾をいきなり落としやがる!?

私が人の間で迷宮の悪夢なんて小っ恥ずかしい厨二ネームで呼ばれてるのは知ってたけどさあ、今それを本人目の前にして呼ぶか!?

イヤイヤ、問題はそこじゃない。

どうして私が迷宮の悪夢と同一存在だってバレた?

どこで情報が漏れた?

くっ、まさかこんな二重で揺さぶりをかけてくるとは、恐るべし教皇!

何もかもアーグナーとは違うということか。

こりゃ、油断できねえぜ。

COOLになれ!

まだ大丈夫。

私がそうだと知られて困ることは、恥ずかしいくらいであとは何もない、はず!

平静を装うのだ。

「白と名乗っています。できればそのようにお呼び下さい」

迷宮の悪夢なんて二つ名で呼ばんでくれ。

それは断固として断る。

そして吸血っ子よ、何をそんな驚愕したような目で見つめてきてるんだ?

口調か?

私だってやろうと思えば敬語の一つや二つ使えるって。

「白様ですね。失礼ですが、あなたは魔族の中でどういった役割を与えられているのでしょうか?」

教皇の鋭い視線。

見た目は好々爺みたいだけど、その目には隠しきれない鋭利な刃が潜んでいる。

さすが、人族全体を裏から操る巨大宗教の元締めだけある。

見た目通りじゃない。

とはいえ、困った質問をされた。

私ってば、魔族の公的な身分ってないのよね。

あえて言うなら魔王の近親者?

うーん。

こんなことなら魔王に何かしらの役職をもらっておけばよかったかな?

これが終わったら仮の役職でももらっておこう。

そのほうが今後動きやすいだろうし。

今後はいいとして、今はどう答えたもんか。

「今日は魔族としてではなく、世界の管理者の一人としてこの場にいるとお考え下さい」

無難!

そして、私は管理者である宣言!

危機を脱しつつ相手を牽制する私のこの手腕を褒め称えるがいい!

私だってなあ、頑張れば喋れるんだよ!

脳細胞破裂するくらいに全力で思考を回転させて、血反吐吐く思いで口を開けばなあ!

だからあんま私に話を振るんじゃねえ!

これ以上口を開くつもりはないと意思表示するためにも、左右の二人にそれぞれ自己紹介を促す。

私をはさんでお互いに視線で会話を完了させた吸血っ子と鬼くん。

どうやら吸血っ子から自己紹介するようだ。

「私はソフィア・ケレン。転生者よ。けど、前世の名前を言う気はないわ。どちらかというと、この場ではあなたたちに両親と住む場所を奪われた、元ケレン伯爵令嬢と言ったほうがいいかもしれないわね」

ブフッ!?

味方からも爆弾を投下しやがるバカが!?

ちょ、それ今言っちゃう?

イヤ、まあ、何かしら吸血っ子の成長に繋がればとか、そんな理由でどうなるかわかんない爆発物を持ち込んだのは私だけどさあ!

もうちょっと空気読んで、タイミング見計らって暴露しようよ!

いきなり投下して焼け野原作るなよ!

「僕はラース。同じく転生者だけど、ソフィアさん同様前世の名前は公表を控えさせてもらいます。どうしても聞きたい場合はそこにいる草間に後で聞いてください」

ほ。

鬼くんは無難に自己紹介してくれた。

よかったよかった。

「オーガから進化した鬼人という種族です」

ブフッ!?

鬼くんがどういう意図でそれを言ったのかわかんないけど、神言教の皆さんの一部の目の色が変わったよ!?

特に教皇!

あれはなんか高速で考え事してるって。

あれ?

おかしいな?

自己紹介だけですごい荒れ模様なんだけど?

この後平穏無事に会談が終わる未来が見えないのは私だけかな?