LNCrawler

SS 年越しそば

蜘蛛ですが、なにか? — ncode.syosetu.com · All chapters

SS 年越しそば

あけましておめでとうございます。

去年の更新で、「今年最後」といったはずだ!

訳:31日年明けギリギリにも一回更新してるので見てない人は見てね。

「年越しそば、ねえ」

呆れたような吸血っ子の声。

それを無視して、私はお椀の中の麵をすする。

その私の横には魔王が座り、同じように麵をすすっている。

んだけど、麺をすするというのがうまくできないらしく、悪戦苦闘中。

日本人は慣れてるけど、外国の人は意外と麺をすすれないとか聞くもんなー。

暴食持ってる魔王がそうなってるのはなんか意外すぎるけど。

「そばに近い何か、だけどね。そばとはまたちょっと違うけど、普通に美味しいよ」

鬼くんがそばの感想を言う。

そう、このそば、そばであってそばでない。

見た目はそばに似せた麵だけど、そばその物じゃない。

だって、この世界にそば自生してないし。

今私達が食べているのはいろいろと実験を繰り返しながらようやくそれっぽいものになったそばもどき。

軍団長という立場をフルに活用し、軍団の予算を着服して開発費に注ぎ込んだりもしたもんよ。

え? 犯罪?

大丈夫大丈夫。

バレなければどうということはない!

「私が言いたいのはそこじゃなくて、これ年越しそばっていうか、椀子そばじゃない」

お椀の中の麺を食べ終わった瞬間、第十軍に所属する白装束がスッとお椀の中に追加のそばを投入する。

素晴らしい!

この絶妙なタイミング。

訓練した甲斐があった。

「まあ、そばに変わりはないし。どこかの地方ではもしかしたら椀子そばで年越ししてるのかもしれないよ?」

「うちは普通のそばだったわ」

文句を言いつつそばをすする吸血っ子。

その背後にはメラが控え、お替わりのそばを片手にスタンバイしている。

メラも食べればいいのに。

そして、目の前の厨房では料理人たちが阿鼻叫喚の地獄絵図を作り出しながら麺を必死でゆでている。

暴食の魔王がいるんだもん。

そりゃ、麵も大量になきゃいけないよね。

私の目の前に積まれた、魔王のそれよりも大量のお椀は見なかったことにしつつ。

「ところで白ちゃん」

麵をすすれずに、諦めてもぐもぐしながら魔王が口を開く。

ものを食べながら喋ってはいけません!

「これの予算ってどこから出てるの?」

ギクッ!

内心の動揺を外に出さないように、麺をすする。

空になったお椀の中に、最高のタイミングでお替わりが追加された。

「不思議だよねー。白ちゃんの個人財産で賄える量じゃない気がするんだ。この材料費だけでも」

モグモグ。

ズズズ。

「一緒に食べたんだから共犯」

「あ、汚い!」

ククク。

一緒に食ってる時点で魔王も吸血っ子も鬼くんも共犯なのだよ!

私を責める筋合いはないのだ!

はっはっはっは!

「バルトにはあとで報告しておくから」

すまんバルト。

また君の胃袋にダイレクトアタックを決めてしまうかもしれん。

それでも箸は止めないがな!

本年もよろしくお願いします。