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第17話 米と自由と

転生七女ではじめる異世界ライフ 〜万能魔力があれば貴族社会も余裕で生きられると聞いたのですが?!〜 — kakuyomu.jp · All chapters

第17話 米と自由と

更新かなり遅れてしまいました・・・!

申し訳ありませんm(_ _)m

引き続きお読みいただけると幸いです。

★あらすじ

・脳筋オヤジは自分が騎士爵位持ちだとまだ思っている。

・ロビンに反省の色ナシ。

・一方、男爵芋ミーリアは開拓準備を自由(食欲のまま)に進めていた・・・!

――――――――――――――――――――――

ミーリアは村をグリフォン村と名付け、準備ができ次第、迎えに来ることを約束した。

ついでに村で不足しがちな塩を寄付したら、村人たちが両手を上げて喜んでいた。

(海に遠征して大量に塩を作るかね……)

ぼっち生活をしていた頃、魔法練習を兼ねて一度海へ行き、塩を作ったことがある。

そろそろ魚料理も食べたいので遠征するのもアリだ。新しい領地では漁業も盛んにしたいと思う。

(マグロ丼が食べたい。あ……そもそもマグロっているのかな?)

王都で出てくる魚料理はだいたいが蒸し焼きかソテーだ。生で魚を出しているのを見たことがない。

(あとでダレリアス家に行ってみよう。ジャスミン姉さまにも会いたいし〜)

そんなことを思いながら、ミーリアはグリフォン村に別れを告げた。

転移魔法で移動しようとしたら、ヒポヌスがクロエについていきたいのか、ずっとくっついていたので、飛んで移動することにする。

「お姉ちゃん、お尻痛くない?」

ヒポヌスにまたがるクロエを見る。

「大丈夫よ。この子が魔法で空気椅子を作ってくれているの」

スカートから伸びる長い脚を揺らして見せるクロエ。

たしかに、クロエのヒップが若干浮いているように見える。手はグリフォンのたてがみを握っていて安定感がありそうだ。

どうだ、すごいだろうと言いたげに「クゥ」とヒポヌスが鳴く。

「落ちたら大変だから、衝撃吸収の魔法をかけておくね」

ミーリアは魔法を飛ばした。

ついでにカウンター魔法であるアンチマジックバーストもかけ直しておく。威力は三割減らしておいた。

(これでよしと)

満足気にうなずき、村を後にする。

途中、池に寄って、アンチマジックバーストで穴だらけになった森を魔法で修復した。倒れた木を回収して他から持ってきた木を植え、地面を整地したら、結構いい感じになった。

(ワビ&サビですな……)

盆栽をイメージしたらしいミーリアが、したり顔でうなずいた。

○

ティターニアの家に帰還すると、ティターニアとリーフが切り株にすわってぼーっと光を浴びていた。

ちゅんちゅんと小鳥が二人の近くで鳴いている。

(平和だね……)

顔をほころばせてミーリアは声をかけた。

「ただいまです!」

ティターニアが顔を上げ、リーフが近づいてミーリアに抱きついた。

「おかえりなさい。あら、グリフォンを連れてきたの? うまくやったみたいね」

ティターニアが笑う。

「そうなんですよ。色々あって、お姉ちゃんがボスになりました」

ミーリアがリーフの背を撫でながら言うと、ティターニアが少し驚いている。

事の経緯を話すと大爆笑した。

「カウンター魔法を勘違いしてねぇ……面白いわね。百点っ!」

「……複雑な気持ちですけれど……ご助言感謝いたします」

クロエが苦笑して頭を下げる。

「一番はお姉ちゃんが撫でるのが上手いからだと思うんですよね。見てくださいよ、ヒポヌスのだらしない顔」

ヒポヌスは首の下を撫でられて、クゥクゥと鳴いている。気持ちよさそうだ。

「撫でられるのが好きなのかしら? 変な生物ねぇ」

ティターニアがだらしなく出ていたシャツをスカートにしまいながら、目を細めてヒポヌスを観察する。

「そのグリフォン、結構強いじゃない。私の五分の一くらい魔力があるわよ」

「そうなんですか?」

「クロエのいい護衛になるんじゃないかしらね。ミーリアの防護魔法がかかってるからあまり意味はないけど」

ティターニアとミーリアが話している間に、クロエがヒポヌスへ色々と質問をしている。

グリフォンの生態をより詳しく確認しているらしい。

「リーフはグリフォンのこと知ってる?」

抱きついているリーフに聞くと、彼女が眠たげな目をこちらへ向けた。

「知らない。興味ない」

「そっか〜」

「あとで魔法教えて」

「うん、ご飯食べてからね」

ミーリアに抱きついていたリーフはこくりとうなずき、切り株に戻って光合成を始めた。

その後、ティターニアの誘いで皆でお茶をした。

お腹もいい感じに空いてきて、ダボラの鶏肉をミンチにしてそぼろを作り、パンに挟んで焼いていただくことにする。レタス、トマト、アボガドも一緒に挟み、胡椒岩塩をふりかけて食べた。

(うん! 和風醤油味のそぼろがいい感じ!)

もりもりとそぼろサンドを食べながら唸るミーリア。

(でもな〜、みりんが足りないよね。日本酒とみりんが必要。あと米。本気で米)

一度米を食べたいと思ってしまい、行動に移してからは脳内に白米のことばかりが浮かぶ。

ダレリアス家にいる北の大地出身の料理人が米を見たことがあるというので、お使いに行ってもらっているのだ。まだ出発して三日だが、早くもミーリアはそわそわしていた。

(旅費、金貨百枚で足りるかな?)

金貨百枚――日本円換算で一千万円。

十分な旅費にダレリアス家の面々は平伏しそうな勢いであったが、それでもミーリアは心配であった。

自重しないと決めてから、財布の紐が伸び切ったパンツのゴムくらいゆるくなっている。

(うーん、やっぱり気になってきた)

ミーリアは立ち上がった。

「お姉ちゃん、ちょっとダレリアス家に行ってくる。一緒に行く?」

「うーん……ヒポヌスが寂しがりそうだからやめておくわ」

「オッケー。夜には迎えにくるよ」

両手で丸印を作り、ティターニア、リーフにも「いってきます」と伝え、転移魔法を発動させた。

(魔力循環――王都――ダレリアス家へゴー!)

瞬間的に景色が切り替わった。

七回の転移で王都上空に到着し、ダレリアス家の扉を叩くと、執事が出迎えてくれた。

客間に通されると、ほどなくして四女ジャスミンが入ってきた。

「ミーリア、来てくれたのね」

ジャスミンがふわりとしたラベンダー色の髪を揺らし、やわらかい笑顔を向けてくれる。

細い身体と儚げな雰囲気をしたジャスミンが笑っていると、無条件で胸が温かくなるような気がした。

結婚が決まったからか、ジャスミンの幸せいっぱいなオーラにミーリアの頬もだらしなく緩んだ。