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第二十話 郷土

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第二十話 郷土

「我が村の名物。コンボーの丸焼きだよ!」

丸焼き?しかも敵の?

「なんじゃ?食べないのか?」

うっ。こう言うのは予想はしていたけど、やっぱ郷土料理てきなものは苦手なんだよな。

前の世界でも、旅行とかでご飯を食べる時に無難なものしか選んでなくて、一番メニューのはじにある唐揚げとかラーメンとかしか食べていなかったからな。

アニメとかでもこう言うシーンがあって、頑張って完食するのはよく見るけど、実際リアルでみると、グロテスクすぎて手すら動かない。

いくらさっきまで敵だったやつとは言え、丸焼きで顔もそのまま焼いているから、目が合った瞬間俺に訴えかけているような気がして食べられない。

「やっぱぁ美味いなこれは」

村長は普通にうまそうに食べているし、俺も食べるしかないな。

食べてやるんだ。

思い出せ。俺をあんなにも襲ってきたこいつのことを。

こいつのせいで何回も死にかけたし、なんなら死んでるんだぞ!

そして俺はようやくナイフを持ち、

「ガッ、ガッ。」

「おお。やっぱ食欲はあったみたいじゃな。

そんなに一気に書き込むなんてな。

どうじゃ?美味いじゃろ?」

やばい。うますぎる。

正直食べ物なんてどれも種類さえ違えばどんな場所で食べようと同じだと思っていたが、これは初めて食べた味だ。

肉なんてどれも同じだと思ってたし、鶏肉さえ食べれば肉は食べなくていいと思っていた俺がバカだった。

俺は、今まであんなに損をしていたのか?

こんなんなら秋田のきりたんぽとか海外行った時のパエリアとかも、家族と一緒に食べておけば良かったぜ。

くそっ。涙が出る!

食べ物で涙が出るなんて初めてだ。

「泣くほど美味いのか。

喜んもらえてよかった。

このモンスターはこの地域にしか生息していないんじゃよ。

だから、ここでしか食べられないんじゃ」

ここから離れたらもうこんな美味いものが食べられなのか。

そうだ。今度トンプリーにも食べさせてやろう。

あいつはどこか飲食店らしき場所で食べに行っているみたいだし、一度食べてもらいたいな。

あ。だめか。よく考えたら、コンボーってあいつのバカじゃねえか。

しかもあいつ魔の生き物だったわ。

あいつが俺のこんなところ見たら、多分泣くなあいつ。

ごめん俺お前の部下食べてるわー。

でもそうだ!ここでこんな美味いものが食べられるんだ。

他の村や町だったら、また別の美味しさが味わえるかもしれない。

俺今、食べ物のことなのにめっちゃワクワクしてるな。

「キキーギー…バタン」

もうこんな遅い時間なのに、まだ人が来るのか?

まあ、振り向くまでもないだろう。

とりあえず早くこれを食べてと。

「あのー。コンボーの丸焼きください」

受付の方から、何やら可愛らしい声が聞こえた。

こんないい声聞いたのは初めてだが、その割には言っていることがちょっとグロいな。

しかも、可愛いだけじゃなくて、どこか男っぽい気もする声だ。

「ごめんね。もう受付時間外なの。

また明日にしてね」

「そうですか。それは残念です…」

「あっ!なんだ。

あんたキーちゃんじゃない?

それならいいよ。

遅いけど食べたいって!」

食堂の人とはなかなか親しいみたいだな。

キーちゃんと呼ばれているのか。

てことは名前の最初に「き」とつくみたいだな。

「いいんですか?どうも、ありがとうございます」

そんな会話を聞いていると、どうしても気になってしまい、俺はうっかり振り向いてその娘をまじまじと見てしまっていた。

彼女はそれから自分の席に着いて…と思っていたが、なぜかこちらに話しかけてきた。

「あ、村長さん。こんにちわ!

いや、この時間だとこんばんわかな?」

「なんだキーちゃんか。

こちらこそこんばんわ」

なんだ?知り合いか?!