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第三十三話 順序

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第三十三話 順序

今見たもの全部知ってるやつなんだよなー。

異世界には絶対にないと思ってたものがあったんだけど。

まあ、薄々気づいてはいたけど、まさか本当に寿司屋だったとはな。

「なんだい。そんな、俺は元々これを知っていたみたいな顔をして?」

そうだよ!俺は今お前がまさに食べようとしているそれを、何度も前の世界で食べていたんだよ!

そして俺はつい本音が口から出てしまい…

「ているよ…」

「ん?なんだい?」

「知っているよ!寿司くらい!」

そして、俺は今まで寿司を食べた回数まで、寿司の全てを教えてやった。

だが彼が、何より驚いていたのは、

「え!回る寿司があるだって?

そんなわけないだろ?」

「本当にあるんだって。

そこでは魚だけじゃなくてハンバーグや肉の寿司も食べれて、普通のラーメンやパフェだって食べれるんだぞ?」

「そんなわけないだろー。

そんなの寿司屋じゃないだろ?」

まあ確かに、回転寿司にはよく連れてってもらっていたけど、わざわざ寿司じゃないもんばっか食べてたからな。

「そうだ。俺が今から寿司を食べる正しい順番を教えてやるよ」

「寿司に順番なんてあるのか?」

「寿司を甘く見るのは困るな。

ちゃんとした伝統ってものがあるんだから」

「最初には何を?」

「いいか?寿司は味が薄めのものから順番に食べていくんだ。

最初はさっぱりしたいかやえんがわなどの白身を食べ、次に海老が乗ったのを食べるんだ。

その次に…」

俺は熱中して、何を食べるかを細かく話し込んでしまった。

「…そして最後に、穴子や鰻などの濃いのを食べて終わりなんだ」

「なんか長々と話してましたけど、そんな順番くらいで変わるんですか?」

「まあ、騙されたと思ってやってみろって」

そう言って俺は、順番通りに寿司を2人分ずつ頼み、

一つずつこの魚は元々どんな生き物だったのかを説明して食べ進めた。

「いやー。寿司ってやっぱうまいですね。

僕、昨日来た時は順番なんて気にしていなかったからわからなかったけど、こうして順番に食べることで最初に味が薄めのものを美味しく食べれました。

前はえんがわなんて、穴子の後に食べてしまったので味が全然しなかったけど、順番通り食べたおかげでこの寿司の本当の美味しさを知ることができました。

魚の説明が一つ一つあったのは、正直聞いてて疲れましたが、今日はいろいろ教えてくれてありがとうございます」

なんか最後ちょっとイラッとしたが、まあ感謝の気持ちもあるみたいだし、いいだろう

「気にするなって。今日は俺の飯に付き合ってくれたんだから、そのお礼みたいなもんだよ」

「俺が教えるつもりが、教えてもらっちゃいましたね」

和やかな話が続いていたが、急に彼の顔は険しくなった。

「そろそろなんです。奴らが来るのが」

「や、奴ら?」

「王都の奴らですよ。

周期的にも、来そうなタイミングに近い付いているんですよ。

そろそろなにか強い技を覚えてくれましたか?」

「まあ、そこそこな」

「それならいいんですけどね。

ちなみにどんな技を覚えたんですか?」

俺は覚えた技の名前、説明、やり方、効果まで全てを話した。

「覚えたのって、それだけですか?」

「今はそれだけだが?」

「ダメじゃないですか!

いつ、奴らが来るかわからないんですよ?」

「もしかしたら、明日の昼にはもう村は襲われているかもしれないんですよ?」

「でも、今まで何とか対処していたんじゃ?」

「そろそろ村人たちも限界が来ているんですよ!

大怪我をする人がいるのだって珍しくないんですよ?

だからあなたが来た時は、みんなあんなに喜んでいたのに…」

「わかったよ。明日の朝、また新しい技を覚えてみるよ。

今度は、天気を変えたり、なんなら滝を作るのだってできるようにするから、期待しといてくれよな?」

「それならいいですが」

「よし。そろそろ店を出るか」

「そうですね」

「ごちそうさまでしたー」

そう言って俺らが店を出ようとしたその瞬間…

「あんたら、無銭飲食だよ!」