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第三十七話 一斉

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第三十七話 一斉

見間違えじゃないよな?

でも、あれはどう見ても手榴弾だよな。

なんで村長やトンプリーは見えてないんだ?

そうか、わかったぞ。

ヒュマントランスペアレントを使ったから人を透かせることができたおかげで、手を透かせたから手の中の手榴弾が見えたのか!

でも、なんで手榴弾なんか手に持っているんだ?

そう言えば、王都からの襲撃がそろそろ来るって言っていたな。

こいつ、襲撃者か?

これが本当かはわからないが、手榴弾を持っていることは絶対事実なんだ。

今すぐ伝えないと。

「あの、トンプリー?今、ちょっといいか?」

「なんだ?今は、技の練習をしているんじゃないのか?」

「違うんだ。

あの旅行者、手榴弾を手に持っているんだ!」

「しゅ、手榴弾?

いったいなぜ?

見た感じ優しそうに見えるが?」

「それは俺も同じだよ。

でも、俺は見えるんだ。

俺が使える技は覚えてるだろ?」

「ああ、あの意味のなさそうな技か」

ずっと引きずってるな

「ヒュマントランスペアレントの効果は覚えているな?」

「もちろんだ。あの服を透かせられると思って使ったら人が透けた技のことか。

でも、あれを使ったからって何も…

あ!そう言うことか。

だから手榴弾を持っているってわかった訳か」

トンプリーもようやく察してくれたみたいだ。

「これはあくまで俺の憶測だが、もしかしたらあいつはこの村を襲撃するために最初の奇襲を仕掛ける役じゃないのか?」

「そうか。確かにそろそろ襲撃の時期が近づいていやことを考えると、つじつまが合っているな」

「村長、あの、話があるので少し耳を貸してもらえませんか?」

「わかった」

「あの、実はこの旅人が手榴弾を持っているらしくて」

俺は村長に全てを打ち明けた。

「なに?なんじゃと?それは本当になのか?」

男にも少し聞こえたのか、

「あれ?村長さん?いったいどうしたんですか?」

尋ねてきたが、理由までは話すことができなかった。

「村長。ここは任せてください」

村長はコクリと頷き、また旅人との会話に戻っていった。

「なあ、俺たちで村人を不意打ちに捕まえないか?」

「でも、仮に王都とは無関係だったらどうするんだ?」

「例えそうだとしても、手榴弾を持っていることは怪しいだろ?

これは確実なんだから、ちゃんとした理由になる」

「そうか!それなら、左右から襲いかかるのが一番だろう」

「でも、左右に分かれるとタイミングがうまく分からなくないか?」

「今から10数えるうちに、お互い別れて、同時に捕まえるのはどうだ?」

「それだと、数を確認する声があいつにも聞こえるぞ?」

「声に出さなくてもいいんだ。

頭の中でお互い数を数えれば、ちょうど同じタイミングで声が出ずに捕まえられるだろ?」

「そう言うことか。

だいぶ難しそうだが、お互いの連携を試すにはちょうどいいな」

「じゃあ、数え始めるぞ?

2秒まで声に出すからな?

ペースを確認してくれ。

いくぞ?」

「1」

「2」

そうしてトンプリーは旅人の右へ、

俺は左へゆっくりと歩き出した。

俺は心の中で続きを数えた。

「3」

「4」

「5」

「6」

「そうなんじゃ。我が村はその名物が有名なんじゃよ」

名物って、コンボーの丸焼きのことか。

トンプリーが聞いたら嫌がりそうだな。

…ん?あれ?今何秒だ?

わからなくなったぞ?

余計なことを考えたせいで、やばいな!

俺は焦ってトンプリーの方を見たが、ダメだ。

襲いかかる気配を全く出していない。

本来ならわからない方がいいのだが、今はもっとあからさまにしてくれれば良かったな。

よく見ると、あいつ、何か喋ってる?

い?う?…あ!9 のことか!

じゃあ、早く行かないと!

「シュタッ!」

トンプリーの10と一緒に、2人は旅人に向かって飛びかかった。