古代交渉 その09
古代交渉 その09
今度は西にある平原地帯。
平らという割に細長い樹木が生え伸びる地形なのだが、それを必要とする恐竜型の魔物たちがここには生息している。
樹木が葉を出すのは当然上の方。
そのために恐竜たちは、その高みへ届くためにどちらかの進化を経る。
「空を飛ぶか、首を伸ばすか……この世界は葉っぱにある魔力を取り込むことがメインになるから、翼竜型の魔物も葉っぱを食べていたりするんだよな」
魔物は究極的に言えば、魔力を供給されるだけで生きていける。
それは人に従属し、与えられる魔力だけで生きている従魔が証明していた。
……まあ、もっとも魔力だけじゃレベルは全然上がらないので、結局同じように魔物を喰らって糧とし、同時に魔力を補給することが多いんだけどな。
「それはともかく、今回の奴は……どうやら代替わりしたみたいだな。ヘノプスから聞いた話によると、ここのボスは草食の首長竜みたいだったんだが……あれ、草じゃないし」
《──サウロポセイドン。パルクシーサウルスとも呼ばれる彼の竜は、ブラキオサウルス以上の背の高さを誇る恐竜です》
「……俺の知識だと、ブラキオサウルスが一番だったんだがな。なんかこう、時代の波みたいなものを感じるよ。いや、今はその話をしている場合じゃないか。あれは交渉できる相手なんだろうか?」
現在、サウロポセイドンは食事中だ。
しかしながら、草食動物の極致みたいな食事方法──大木をそのまま食らうスタイルで魔力を補給していた。
なんかこう、いろいろと違和感だらけだ。
ちなみに体長に関しても、一体だけ50m級の突出した高さの恐竜だし。
「まずは……声を届かせないとな」
《では──こちらを》
「前に使ったメガホンか。あそこまで届くのかな……まあ、お前の用意してくれた物だから問題ないか」
さっそく起動させ、音量を調整させる。
ノイズもなくそれは済んだので、軽く息を整えてから声を出す。
「あのー、すみませーん!」
『…………』
「っと、こっちの分も忘れてたな。頼む」
《畏まりました。ドローンを飛ばし、音を回収。それを旦那様に流します》
相手も50mより下の奴に、わざわざ声を掛けるようなことがないんだからな。
というか、相手は人族だし気にする必要がないと思う。
『死ね、下等生物が』
「うわっ、これはまたいきな──」
大きく振りかぶって降ろされる脚。
体長が大きい分、足の方も大きい……つまり逃げることもできないわけだな。
さすがにこれは困るので、転移を使って逃げることにする。
……踏まれてから足を離してもらえなかったら、一生そこに居る羽目になるからな。