生産世界初訪 その07
生産世界初訪 その07
依頼主が俺に加工を求めたのは、種型の特典だった。
自分のスタイルに合わせ、戦闘用にしてほしいとのこと。
なお、アイテム名は──『双竜虎樹圧縮遺骸[ドライガーウッズ]』。
種という、小さなアイテムになることでリソースを確保した形になっている。
戦闘力などもそのほとんどがカット、あくまでも生産世界というモノづくりの世界に合わせた能力なのだから、依頼主の注文が割と無理難題なことがよく分かった。
「それでも、やらせていただきますよ。私にとって、それがこちらの世界での初仕事になるわけですしね」
「──っと、着いたぞ。ここで、お前さんにはアイテムを作ってもらいたい」
案内されたのは、生産設備が整えられた広い施設。
そこに人は居ない──どうやら、この場所は特別に用意された場所のようだ。
冒険世界の生産ギルドも、選ばれた者だけが使える施設があった。
ここは魔材ギルドの総本部なのだから、そういった施設があってもおかしくは無い。
「生産世界でも最新式の設備が揃っている。使い方が分からないなら、ギルドカードを翳してくれれば情報が出る。他に何か、質問はあるか?」
「そう、ですね……ここの情報は、どれくらい外に?」
「っ、答えづらい質問をしやがって……悪いが保証はな。どこも情報収集は欠かさずやっているわけだな、ただそのやり方はギルドごとに違ってな……それはまだ暴けていない、俺が言えるのはここまでだ」
情報、と言えば冒険世界の【情報王】をやはり思い出す。
彼の情報収集能力は、俺が知り得る中でも一、二を争うレベルだからな。
なお、総長の言い方的に魔材ギルドとしても情報の収集をしっかり行っている。
つまり、生産世界全体で、技術の情報を集めているというわけだな。
建前と実態はまた別、そう言っている。
そして、どれだけ隠していてもそれが漏れない保証が無いとも。
「こっちとしても、条件は呑んでいるつもりだ。最大限のフォローはさせてもらうが、情報のいっさいを漏らさないってのはやっぱり難しいと思うぞ」
「ええ、分かっています。なので、最低限の情報は開示しますよ。もちろん、加工に使う技術は私が保有しているものの中でも最高峰ですのでご安心を。あれですね──やれるものならやってみろ、です」
「! ……こいつは、結界か」
『そういうことです。では、さっそく準備を始めますのでこれにて。総長はどうか、ごゆるりとお待ちください』
こっそり『SEBAS』が構築してくれていた、情報を秘匿するための結界。
それを暴くことができなければ、俺から情報のいっさいは得られない。
実際、展開してから干渉がされているのでその辺はやはり穴があった模様。
……さて、さすがに無限の時間があるとバレるだろうし、作業を始めるとしますか。