天空攻防 その15
天空攻防 その15
復活させた[エクリエンド]、それを精霊神様から授かった指輪に宿した。
蘇生が 発動 じぞく している間、[エクリエンド]の能力を自在に使うことができる。
本来であれば、いろんな意味で不可能だ。
だが無数に存在する不可能の理由を、覆すことが今の俺にはできる。
「思考を乱すには、余計な思考を与えることが最適です」
「静かに、戦うことも、できないのか!」
「ええ、私自身は生き残ることさえできれば充分ですので……申し訳ありません、武人の矜持も人としての建前も関係無いのです。生き残る、その一点のみに特化した存在──それこそが『生者』なのですから」
闇の制御に関しては、『セバスチャン』経由で『SEBAS』が行っている。
なので俺は動かず、会話をする余裕がたっぷりあった。
発動中の“万物闇換”は、干渉したモノすべてを闇に換えるというチート能力。
本来、特典として得る場合に行われる最適化が行われていないが故の特異的現象。
文字通り、人の身に余る行為。
だが俺と俺を狙う者たちは、現在冒険世界にとっての無法地帯と化している──今だからこそできる荒業だった。
闇は俺の周囲を蝕み、蝕んだ闇が更にその先を侵していく。
どこまでも闇が広がっていく──そのすべてが、俺の支配下にある。
触れることで権能を発揮する『飛武』なのだが、今ではそれもほぼ不可能。
翼人族(仮)の優位性である立体的な攻撃も、膨大な量の闇が阻んでいる。
「……闇は、空までは来ないようだな。それに、地上であろうと限界はあるか」
「ええ。あくまでも、支配下に収められる場所には限界があります。それ以上になると、こうして──精霊になります」
「その程度……っ!」
至る所で生み出される闇精霊たち。
今の俺は最上位精霊にも匹敵する固有種の精霊を従える存在、そのため闇精霊たちも擬似的に支配下に収めて操ることができる。
とはいえ、そこまで難しいことは命令できないのであくまで簡単なこと。
俺が腕を振るうと、『SEBAS』が精霊たちを操り──この場全体に闇を造らせた。
「これは……無駄なっ!?」
「私は勝たずとも勝利できるのです。そしてこの闇を広げている間、私とこの闇は同一の存在として見られる」
「バカな、魔法陣だと!?」
「術式を陣として変換するのは苦労するそうですが。ともあれ、これにて終わりです」
精霊たちが闇を展開、その間に俺自身が構築していた魔法陣。
……正確にはこちらも『SEBAS』が行い、俺は魔力を籠めていただけだが。
「いつか、そちらの世界にも向かいます。今回の決着が不服なのであれば、その時にでも語り合いましょう」
「……次は、こうはいかんからな」
「ええ、そうでしょうとも。ああ、向かう先は幻創世界。制限などはありませんので、ご安心を──“ 非常門扉 バックドア ”、起動」
緊急転移の術式、それを他者に使うことでこうして送還に使うこともできる。
一度追い出せば、しばらく安泰なのは確認済み……こうして、刺客を退けたのだった。