更なる庇護
更なる庇護
せっかく新たに広めたモノを、自分自身が使えないという微妙な点。
まあ、真に警戒すべき権能持ち全員が、そもそも『プログレス』を使えないのだが。
「【魔王】……これ使えるかな?」
《できなくは無いでしょう。性質を活かし、完全な共感を行う。相手に同調する意思があれば、可能かと》
「相手とまったく同じ『プログレス』ってなれば、それはそれでどういう結果になるのか気になるな……『超越者』の権能まで増幅されない仕組みで良かったよ」
唯一、簒奪という形で『超越者』の権能を保持しつつ『プログレス』を使う【魔王】。
だがかつて実験を行ったところ、併用にはさまざまなデメリットが生じていた。
とてもシンプルな話だが、どちらかを使う間はもう片方が機能しなくなるのだ。
もともと『超越者』は使えない代物、その判定は権能によって決められる。
そのため権能の併用はできても、比率を下げようと『プログレス』は使えない。
まあ、ほんの一瞬ラグがあるようで……まだ何か企んでいるようではあるが。
「それはそれとして、もう時間か?」
《はい、転移ですぐに向かいましょう》
「了解だ──ついに、始まるのか」
《これは失名神話の神々に、ご活躍を見ていただける絶好の機会です。ぜひとも、頑張りましょう》
元より見てくれているのではあろうが、やはりどうせなら直接だ。
現状も、今回のイベントを経て何か変わるかもしれない。
これまで入念に俺の支援を行ってくれた失名神話の神々のためにも、絶対に負けられない戦いがここにある!
◆ □ ◆ □ ◆
「はーい、お待ちしておりましたよー!」
「準備はできている、頼む」
神・世界樹に転移し、洞へ移動。
待っていた女神プログレスに、目的地へ連れて行ってもらう……はずだったのだが。
「畏まりましたー……と言いたいところなんですけど、その前に」
「その前に?」
「えー、この度信仰値がある程度溜まりました! なので、再びご主人様に与えられている庇護の効果がパワーアップしたことをお知らせしまーす!」
「……全然気付かなかったな。庇護って、加護と違ってランクが無いのか」
加護は加護、祝福、寵愛といった形で変化していくのだが……庇護はそれだけだ。
まあ、そこまで困るわけでも無いし、内容さえ効果があればいいんだけど。
「今回の懇神会でも、必ず役に立つと思いますので、ぜひとも使ってくださいね!」
「……よく分からんが、分かった」
「それじゃあ、張り切っていきましょう!」
そんなこんなで、当初の予定通り俺たちは目的地へ向かう。
庇護の強化に意味がある? ……いったい何をするのやら。