オリンポス山 前篇
オリンポス山 前篇
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女神プログレスに対する庇護が強まったことに気付いた後、俺たちは神々が行う懇親会ならぬ懇神会の会場へ向かった。
そこには巨大な神殿があり、参拝客たちが集まり賑やかな雰囲気を出している。
一方、そんな活気に圧し潰されて殺されている俺は周囲の状況把握に勤しんでいた。
「プログレスが居ないな……まあ、人と神とで入り口が違うのか? うーん、間違いなく会場はあの神殿関係だろうけど」
《旦那様、現在地の特定が完了しました──どうやらここは、オリンポス山のようです》
「あのウワサに名高いギリシア神話のか……なるほど、開催地はここだったわけだ」
冒険世界の神々、中でも俺が把握している現実世界に存在する神話は二つ。
一つはラグナロクを行った北欧神話、もう一つがオリンポス山を有するギリシア神話。
すでにヘルメス神や半神半人であるヘラクレスなどに会っているので、間違いない。
しかしながら、いろいろと疑問が……なぜこの場所なのだろうか?
「どうして俺は、プログレスといっしょに転移できなかったんだ?」
《転移が許可制だったのはほぼ間違いありません。おそらく問題は、旦那様が現人神として扱われなかったことでしょう》
「休人でもあるから、判定に困ったと……」
なお、ここで虚弱さは考えない。
関わりがあるならば、何度も自在に転移などできていないわけで。
いちおう俺は、:DIY:という創造神の権能をほんの一部借りた身。
俺自身が偉業を成し得てなどおらずとも、代行という形で神を名乗ることはできる。
烏滸がましいにもほどがあるが、まあ客観的には事実なので。
しかしながら、休人でもある俺の身は死ねば元通りという特殊な生態があった。
まあ、その辺が邪魔をしたのだろう。
人と神で使う仕組みも理も違うだろうし、俺の方でも何かやらかしていたのかもしれないな……調べてもらおうか。
「ともあれ、だ。そうなったら真っ向から神殿に入らないといけないわけだな。プログレスの方はどうなっている?」
《現在、共に居たはずの旦那様が居なくなり困惑しているようですね……すぐに事情を説明しておきます》
「頼む。たぶん、門前払いは無くとも一悶着ぐらいありそうだし……避けられるなら、避けておきたい」
俺の行動が失名神話の神々に悪影響を及ぼすのも嫌だしな、極力目立たないように移動していこう。
「隠れる……のは逆にダメか。神殿って、そういうの暴く場合があるし」
《影響力のある神殿は、ほぼそういった仕様となっています。奉納された神器など、守る物が多いですので》
「……気になる単語もあったけど、それは後で。よし、じゃあ普通に行こう」
まあ、あくまで俺にとっての普通だけど。
そんなこんなで、懇神会を目指して俺は神殿へ一人向かうのだった。