懇神会 その14
懇神会 その14
迷宮ごと[クノッソス]を攻略しようとしていた……のだが。
どうやらまだ、[クノッソス]は奥の手を隠していたようで。
「これは……雷?」
雷が迷宮中を駆け抜けると、着実に行っていたはずの『侵略者』の効果が中断される。
どうやら先ほどの一発で、すべてを焼き滅ぼしたようだな……俺も含めて。
見えない場所で常時展開されているのか、以降はまったく侵略できない。
しばらくは諦め、『SEBAS』の解析結果を待つことに。
《──旦那様、神威を確認しました》
「神の雷、そしてギリシア神話の怪物……なるほど、これも神練の一種ですね」
かつて、俺が挑んだ試練──獣神の神練で行われた災厄種への挑戦。
そこで起きた現象──神の力による、災厄種の再構築だ。
ある意味、それと似た現象である。
アレは存在ごと歪めたやり方だったが、今回はあくまで肉体をそのままに、能力を追加している感じだろうか。
「ゼウス神様……さて、何を考えているのでしょうか」
《本来、英霊たちに行わせていた神練です。己の加護を持つ個体を討伐させることで、新たな加護持ちを生み出すことを企てていたのかもしれません》
「加護持ち……なるほど、それは希少でしょうから。それも、主神クラスとなれば」
神の加護は無限ではない。
一度聞いたことがあるのだ、創造神様に俺以外の加護持ちは居ないのかと。
答えは一言──『僕は独りにしか加護を与えられない』、とのこと。
過去はともかく、今の神々にはさまざまな制約が存在しているようだ。
その一つが加護持ちの制限。
俺の行いから分かるように、加護持ちの影響は神に届く──だからこそその数が神話の影響力で決まり、創造神様は独りのみ。
…………けどまあ、裏技はあるわけで。
それが失名神話の神々も行った神練、その達成者には別枠で加護を与えられるのだ。
「つまり、[クノッソス]を神練の通りに倒すことで加護が与えられると……魔物への加護は神練の一環として誤魔化し、強者へと加護を移す。なるほど、上手い考えですね」
ついでに言うと、おそらく俺が倒したところで条件は満たせていないだろう。
それでも、[クノッソス]の討伐報酬は得られるし加護持ち発生の妨害もできるはず。
「私が祈りを捧げるのは失名神話の神々……そして我が妻のみ。生憎ですが、他の神々から加護を賜るなどごめん被りたいですね」
聞く人が聞けば異端審問にでも掛けられそうな言葉ではあるが、聞く『人』など居ないので大丈夫だろう。
「準備は万端、とは言い難いものではありますけれど。それでは、どうぞお付き合いください──『インストール:ドミネイトテリトリー』」
ジンリの『プログレス』を起動、周囲の領域を支配する。
しかし、主である[クノッソス]がその場に居るため不完全なもの。
それでもある程度は場所を確保し、俺の周囲では『侵略者』が再起動しつつある。
……このままではいられないが、少しずつ攻めていこう。