懇神会 その16
懇神会 その16
迷宮の環境を操作し、[クノッソス]を深海(地形)に閉じ込めた。
俺も共に居るので、ある意味我慢比べみたいな状態になっている。
命懸けのデスマッチ、これならば神々も盛り上がってくれていることだろう。
もちろん、ただ相手の死を待つわけも無く俺も[クノッソス]も行動に移っていた。
『──ッ!!』
電気を迸らせていた[クノッソス]が、咆哮を上げ何かをしたようで。
深海状態になっていた俺たちの周りで、多くの罠が創り上げられ起動していく。
「──『SEBAS』」
《阻害・防御結界を起動します》
すでに侵略度合いはさして変わっていないのだが、それでもこの現状を保つには充分なほどだ。
今の俺には迷宮の罠を利用する力は残っていないが、それでも大量の魔道具がある。
それらを展開し、水に近づけないようにしていく。
罠だけでなくどこからともなく魔物も連れてきたようだが、それらもまた展開した人形たちが代わりに対処してくれる。
『──、────ッ!!』
「ははっ! ええ、楽しみましょうか、この戦いを!」
『────!!』
吼える[クノッソス]の両手には、先ほどまで一本しか使っていなかった両刃斧が一つずつ握り締められている──そしてそれは、斧を構成するすべてが雷で構築されている。
「なるほど、とっておきですね。では、こちらも……大丈夫か?」
《回線は回復しております、問題無く切替可能です》
「──“神持祈祷:ブレイブソウル”!」
今まで『SEBAS』との接続のために起動していた『セバスチャン』を解除、代わりにショウの『プログレス』を起動。
「重ねて──“オーバーブレイブ”!!」
制限時間がある代わりに、全能力値が十倍に跳ね上がる能力を発動。
普段の俺なら微々たるものにしかならないのだが……今の俺は違う。
「“孤独蟲毒”により、すでに限界ギリギリまで上がっていた能力値。さて、それが十倍になれば……どうなりますかね?」
手を開けると、そこに転送されてくる小さな短剣──魔力を籠めた途端、それは太く長い大剣と化す。
剣の銘は[虚膨]、模造でも何でもない正真正銘の星の剣。
無限に大きくなるその剣を、膨大な能力値で強引に振り回す。
俺に剣を振るう才能は無いし、高過ぎる能力値のせいで逆に思うように振れない。
それは[クノッソス]にも気づかれてたようで、すぐに反撃を──
《戦闘プログラムを起動──結界の操作を開始します》
『──ッ!?』
しかし、強引に振り回していた時間など数秒程度のもの。
反撃を狙おうとしていた[クノッソス]に対し、そのカウンターを行う俺。
結界が体を動かし、最適な場所まで俺を誘導してくれる。
あとは有り余る膂力でそれを振り回し、ぶつけるだけでいい。
──深海の中、そこに赤色が初めて混ざるのだった。