懇神会 その19
懇神会 その19
ついに俺は、恩人もとい恩神である創造神様と言葉を交わすことができた。
気楽にしていいとのお言葉も受け、会話が始まる。
「あの、まずは……:DIY:スキルを授けてくれて、ありがとうございます」
「どういたしまして、かな。手紙で何度かお礼の言葉は受けたけど、やっぱり直接の方が嬉しいね。僕にもメリットのある提案だったし、むしろこっちがありがとうだよ」
「そう言ってもらえると嬉しいです。ただ、一つだけ……」
「ん? 何でも言ってごらん」
お礼を言った流れで伝えるのは申し訳ない気もするが、確認したいことが一つ。
俺がEHOを始めてから、どうしても直接聞きたかったことが。
「えっと、どうして俺だったんですか?」
「……質問はそれでいいのかい? もっと他にも、答えられることなら答えるよ」
「いえ、これを。主人公みたいなうちの息子でも娘でも、運命に愛されているような妻でもなく。何にも無いただのゲーマーを選んだ理由、それが知りたいです」
「……。そう、だね。いいよ、答えてあげようじゃないか」
そう言った創造神様は、それはもういい笑みを浮かべて──
「理由は特に無い! 君の周りが凄いことも後で知ったし、それこそ正直僕が何もしなくても今みたいになったかなって思ってる!」
「…………えっ?」
「うんうん、人の子はみんな運命だの真実だのに因果を求めるけど、そんなものは特に無いんだよ。ただ◆◆◆◆──あの娘に君が伝えた要望が面白そうだったから、僕は君に賭けてみた……それだけだよ」
あの娘、と言われていたのは初期設定を担当してくれた女神様だ。
俺たちの会話が聞こえたのか、こちらを見て近づいてくる。
「聞きたいことはこれでいいかな?」
「あっ、はい。ありがとうございます……」
「うーん、まだ理解はしても納得できていないって感じかな? まあ、詳しい話は彼女から聞いてほしい。その方が、いろいろと美味しい気がするからね」
「あっ、創造神様……って、早いな」
呼び止める暇も無く、一瞬で創造神様は遠くへ行ってしまった。
残されたのは俺、そしてちょうど到着した女神様のみ。
「…………」
「…………」
「「…………」」
「「あ、あの……あっ、そちらから!」」
うん、どこからか口笛やら指笛を鳴らす音が聞こえてくる。
なぜだろうか……いや、さすがに分かるけども、こっちも緊張しているのだ。
創造神様が権能を分け与えてくれたのは、彼女が俺の担当を務めてくれたから。
タクマによると、初期設定は様々な神話から担当者が出ていたとのこと。
その多くな天使やら使徒だったようだが、失名神話にそういった存在を俺はまだ見ていない……彼女と最初に出会えたからこそ、俺の今はあるのだ。