懇神会 その21
懇神会 その21
アインヒルドとのやり取りは、恩神であるフリシア様を楽しませられたようで。
彼女には申し訳ないが、今回は我慢してもらいたい。
「──ん? これは何でしょう……」
会話の途中、突然会場の明かりが消える。
間違いなく次の催しに関わっているのだろうが……俺はその予定を知らない。
なのでそれを知っているであろうフリシア様に視線を向けると、説明をしてくれる。
「本来、この懇神会のために用意されていた余興ですね……もっとも、ツクルさんの余興のインパクトが強く、少々予定を変更したとのことですが」
「あはは……申し訳ありません。つい、皆様のお陰でここまで来れたと伝える気持ちが昂りました。それで、その内容とは?」
「それは──」
説明を言い終える前に、それはもう始まっていた。
会場に展開されるモニター、そこで行われていたのは──英霊同士の戦い。
「なるほど……模擬戦ですか」
「はい。ですがただの模擬戦ではなく、神々が観覧を行う御前試合です。優れた戦績を残した者には褒美が、また普段は禁じられている手もいくつか許可されているようです」
「すべて、ではない辺りにそれぞれの手札を隠す意図が感じられますね。一部を晒すのは協定として友好を示すため、あとは自勢力を誇示する目的があるわけですか」
「それぐらい当然じゃありませんか……貴方も戦乙女が認めた英士なのです、飛び入り参加でもしたらどうですか?」
アインヒルドはツンとした態度で俺を煽るが……うん、心なしか期待しているな。
確かに参加すれば、失名神話の名をより轟かせることになるだろう。
「──いえ、今回は止めておくよ。申し訳ありません、フリシア様」
「な、なぜですか?」
「まず俺云々で多少予定が変更されているんだから、飛び入りで混じったら余計に混乱すると思う。あと、それを考慮したうえで予定が立てられていたとしても、間違いなく俺を袋叩きにする系だろうし」
というか、ほぼ間違いなくそうなってる。
何だかんだ主神様と三柱全員会話をしているが、どの神様も娯楽を求めていたし。
程度はともかく、俺のことを面白おかしく楽しむぐらいのことは考えている。
予定変更だって、彼らの口添えがあってのことなのだろうし。
「なので今回はここで傍観です。次に活かすことにします」
「次、ですか?」
「彼らの武術は優れていますからね。天性の才能を磨き上げ、高め合っている。その一部でも見ることができれば、凡人にとって大変貴重な経験となります」
いつでも戦闘プログラムの更新はできるので、どんどん高めていきたい。
人の数だけ戦い方がある、そしてそこに決してゴールは存在しないのだから。