集団就職 中篇
集団就職 中篇
「──ほいっ、完成っと」
この世界に足りなかったもの──すなわち職業システムの恩恵と受け取るための装置を作り上げることにした。
やることは簡単、:DIY:を発動してアイテムをコネコネしていくだけ。
幸いにも、必要なモノの大半は天然由来の代物だったのであっさりと材料は揃う。
それ以外で必要だったのは高純度の魔石。
強力な個体を倒す、あるいは膨大な量の小さい魔石が必要だったが──複製技術のある俺は、大きめの魔石を増やして混ぜた。
結果として、俺の目の前には運動会で使われる大玉ほどの魔石が置かれている。
同じく、:DIY:があっさりと生み出した巨大な水晶玉もそこには在った。
「魔石もできたし、あとは混ぜるだけか……これといっしょに。『SEBAS』、これが有れば簡単に作れるのか?」
《はい。そちらは案役街より仕入れました、『系統樹の進晶』の基となるデータです。いわば完全版、その初期仕様となる情報がインストールされております》
「…………さすがは神代。もう、何でもありだな」
どうしてそれを『SEBAS』が、などと野暮なことは言わない。
電脳存在がその空間に[ログイン]して、何がおかしいというのか。
データを入れたというソレは、魔石や水晶同様に磨かれた球体をしている。
……USBや端末間通信を使う俺たちの世代では、これが記録媒体とは分からないな。
「これを普通に混ぜればいいんだな?」
《はい。膨大な魔力が必要となりますが、それ以外の問題はございません》
「そして、今の俺は無限の魔力があるから問題無しっと──『概念合成』!」
合成の比率を調整できる『概念合成』。
これにより、記録媒体の中身を基盤とした新たな品を錬成していく。
その間、数万単位の魔力が一秒に満たぬ時間に削れている。
だがそれでも、:DIY:がもたらす魔力チートが失敗を払い除けていた。
そしてしばらく、同じ状態で時間が続く。
少しずつ丸い球体が一つになりつつあるのだが……普通ならこれ、魔力枯渇で生産者が死んでいてもおかしくないぞ。
「…………長いな」
《本来の方法ではなく、また仕様も古いため時間が掛かっているのでしょう。本来であれば神聖魔法により神々の支援が受けられますが、旦那様の場合──》
「言わずもがな、バレると困るもんな。古い仕様で大丈夫なのか?」
《むしろセキュリティの甘い部分がありますので。問題となる点は、旦那様自ら手を加えていただけますと》
アップデートって、具体的にどうすればいいのやら。
後のことはまあその時に考えるとして……今は完成したことを喜ぼうじゃないか。