第一回プレオープン その05
第一回プレオープン その05
ギルドや街の外を見せてみた。
偽装しているだけあり、それなりに来訪者が訝しまないよう仕組みはできているのだ。
「さて、一通り目ぼしい場所は案内してきましたので……宿を少し、案内しましょう」
「ふむ、そういうことか」
「えっ、どういうこと?」
言葉足らずな説明を理解する『騎士王』、そして首を傾げる『白氷』。
同じ強者であれど、そこに責任があるかが違いとなったのだろう。
「どのような宿を案内してくれるのだ?」
「二つ。一つは一般的な来訪者の方々を泊める予定の場所、もう一つは皆様のような賓客の方々をもてなす場所ですね」
「歩いている限り、そういった場所は見受けられなかったが……」
「景観を損ないますので。知る人ぞ知る、高級なお店というやり方を取らせてもらっていますよ」
そうして再び移動すると、そこに広がるのは日本風の邸宅──そう、旅館だ。
現実から『SEBAS』が引っ張ってきたイメージ図を基に、建築を行っている。
郷に入っては郷に従え、それを意識させるのにはちょうどいいだろう。
靴を脱がせたり温泉を見せたりした後、一度ここを出てもう一つの場所に案内する。
「さっきの場所が良かったのに……」
「そう言うな。わざわざあちらから見せた以上、とても期待できそうだな」
「あはは、その期待に応えられるかは分かりませんが──着きましたよ」
「ぶー、やっぱり普通じゃん」
次にやって来たのは、ごくありふれた二階建ての建物だ。
それこそ、原人たちが一目見て『宿』と分かるような。
もちろん、それを狙っているのだから当然と言えば当然だが。
がっかりしている『白氷』だったが──中に入った途端、目を輝かせる。
「えっ、凄い! これ何!?」
「旅館と同じく、空間拡張がされています。入ってすぐが食事処ですので、狭いよりかは良いと思いまして。では、二階が宿泊スペースとなっておりますのでそちらへ」
魔道具だけでなく、電気など現代の技術も織り交ぜて作られたこの建物。
全員がそういった物を興味深く眺める中、宿泊客を泊める部屋に入る。
「ほう、これは面白い。『生者』、これがすべての部屋で共通された設備なのか?」
「そうですね。少なくとも、ここ以下というのはございません」
「ここ以下、か……」
そこからは質問が続いた。
特に多かったのは『錬金王』コンビ、それと『白氷』から。
前者は仕組みについて、後者は普通にどう使うかなどだ。
マニュアルに使い方は書いてあるのだが、今回は一つひとつ説明していった。
「──とこのように、電源を入れることでドライヤーは起動します。お好みの風量、温度で髪を乾かしていただけます」
「へぇ~……あ、この小さいのがあたしたちが使うためのものなんだ!」
「はい。全種族への対応を目指しておりますので、どの宿でもございますよ。もちろん、妖精の方々などの小型らな種族の皆さんに合わせた宿もございます」
「! ならそっちも行きたい!」
「はい、では後ほどご案内しますね」
なんて会話をしている間も、『騎士王』はただ黙って辺りを見ている。
……さすがは為政者、いろいろと気づいているようだな。