LNCrawler

密入開始 前篇

転生して進化したら最強になって無双します — novelba.com · All chapters

密入開始 前篇

取引内容は認められ、『愚かな賢者』が協力者になってくれた。

あとは魔導世界へ密入界するだけ……これが一番の問題なんだよな

「さて、『生者』よ。儂の権能がどういったものかは理解しておるか?」

「……あらゆる術式への適性、ですか?」

「遠からず近からず。正しくは、その可能性じゃな。儂の権能が誰かに渡ろうと、その瞬間に使いこなすことはできぬ。なぜならば、この権能はありとあらゆる術式における神の恵みを、すべて断ち切っておるからじゃ」

「…………つまり、システム的な補正が作用しないと」

効果自体は一度目の邂逅時、お馴染みのアイテムで採取して解析してあった。

しかし、説明にあった通り補正が作用しなくなるため、あまり使いこなせないでいる。

「『愚かな賢者』とはすなわち、分不相応にもすべてを欲した愚か者に授けられた名とも言える。この体はともかく、かつて儂には才と呼べるものがまったく無かったからのぅ」

「…………」

「禁忌に手を染め、果てに得たのがこの力。努力が実を結ぶ、才なき才能と連中には笑われておるがの」

「ですが、それでも貴方は八大星魔の一人。その名に相応しい実力を持っています」

俺たちはともかく、この世界の者にとって魔力を扱う術は危険でもある。

特に、システムの補正無しに難易度の高いものを使うと──最悪死に至る。

システムがいきなり強力な術式を提供しないのも、その危険性を見越して。

だが、それすらも覚悟のうえで、成し得たいと『愚かな賢者』は思ったのだろう。

「そう世に証明するため、それなりの時間を要してしまったがのぅ。まっ、ともあれ今の儂は連中には及ばずとも一流程度の術式であれば大抵はこなせる。そして、必要なものであれば連中と同程度にはのぅ」

「……たとえば、世界を渡る術も?」

「その通りじゃな。これもまた、『生者』が求める術なのであろう? ふむ、いずれは別の形で見ることになるじゃろうな」

そう、世界を渡る術に今回は頼ることになるのだが、本来であればその術式こそが俺にとっての最大の敵とも言える。

……アイスプルに自由に潜り込める、その可能性が一番高いからな。

この術式を理解し、その対策を立てられることこそが最大の利点だろうか。

「まあ、術式自体は持って行って構わんよ。先の筆が他の連中の複雑な術式にも通用するのかどうか、調べてみるのも一興じゃしな」

「……ありがとうございます」

「構わん。さて、『騎士王』よ。いちおう聞いておくがお主はどうする?」

「二人が出た後、こちら側の偽装をしておこう……まさか、忘れていたとは言わせんぞ」

鳴らない口笛を吹き、どこかを見ている辺り……『愚かな賢者』、どうやらその辺のことは忘れていたようだ。