魔導世界密入 その10
魔導世界密入 その10
チンピラ相手にアイテム無双。
結界で音漏れを塞ぎ、戦闘開始……彼らの言う『あの方』を知るべく、[モルメス]を手にしながら。
「──まあ、時間さえ掛ければこうなるのは当然ですね」
戦闘はいつもの流れだったので割愛。
命懸け(物理)で[モルメス]を一掠り、倒したらまた別の相手へ。
その繰り返しを何度もやれば、最後には俺以外誰も立てなくなる。
前衛も後衛も関係なく、俺が近づき結界の内部で仕留めていった。
「さて、誰に尋ねましょうか……私は誰でも良いのですが、正直な方には相応の礼を支払わせていただきますよ」
「! そ、そいつは……!」
「おや、お目が高い。こちらは冒険世界で知られる、有名な職人が御作りになられた一級のポーションです」
「…………」
彼らのほとんどが、ポーションに釘付け。
見る人が見れば、そこに秘められた魔力の質と濃度に驚くモノだ。
チンピラといえど、魔導士である彼らには他世界の者より見えているのだろう。
──だからだろう、これまでとは違い誰もが叫びだす。
「うるさい──“千変宝珠・衝撃”」
『!!』
「こほんっ。皆さんで一本ずつ、というのはできませんからね。私がもっとも有力な情報だと思ったものを持つ方に、こちらはお渡ししましょう。『契約』を交わしても、構いませんよ?」
かつて『騎士王』と交わしたものと似ている、こちらの世界における取引のやり方。
どの種類の術式でも共通して運用可能で、しかも別々でも接続可能らしい。
「本当か……ふっ」
「あっ、ズルいぞリーダー!」
「はっ、悪いな。アレは俺のもんだ」
本性を晒すのは、先ほどまで彼らに命令を下していた男。
まあ、ちょうどいい……聞き出せるだけ絞り出していこうか。
◆ □ ◆ □ ◆
まずはリーダーが情報を出した。
そしてその後、彼らも情報を出す……が、大半がリーダーの情報以下。
このままでは不味いと思ったのだろう、ある男が口を開く──
「あ、あの方について──」
「ば、バカ」
「あっ……ぎゃあああ!!」
「ほぉ、これは面白い。これもまた、契約の一種ですか」
あの方、と呼ばれる何者か、またはその関係者と契約を交わしたのだろう。
そしてその果て、故意に情報を漏らした際に契約違反として制裁が下るのか。
「とても面白い……ええ、ではいろいろ試しましょう」
「な、何を」
「まあ、見ていてくださいよ。救えるかもしれません──『インストール:マナキャンセラー』」
魔力を拒絶する『プログレス』、これで外部から放たれた魔法を無効化したという例は聞いている……さて、成功するかな?