魔導世界密入 その15
魔導世界密入 その15
一先ず、迷宮『求まれぬ道』を探すためにこの場から移動することを選んだ。
ここは『八大星魔』の管轄外に在る狭間の空間、外に出れば当然そうではなくなる。
「──で、とりあえず出口に来たわけだ……この先って、どうなってるんだ?」
路地の奥にポツンと置かれた魔法陣……の更に先、ホログラムのように擦り抜けられる壁を通った先に置かれている転移陣の前に俺は居る。
《場所は定期的に変更されているようです。現在は、『真海の主』の領域となっていない海域に飛ばされるとのこと》
「海……って、溺れ死ぬんじゃ?」
《正確には、海域に存在する座礁船にとのこと。ただし、身の安全は保障されていないようです》
乗り上げた船、そしてそのお知らせ。
それはそれで面倒そうだが……いやまあ、『八大星魔』よりはマシか。
「身の保証は無くても、まあ飛んだ先がいきなり『八大星魔』の眼前じゃないだけマシだな。よし、じゃあ行きますか!」
転移陣は乗って、魔力を籠めれば誰でも使うことができる。
戻ってこれるかは、また別なのだが──とりあえず、今は気にしないでおこう。
◆ □ ◆ □ ◆
第七魔道 魔巖礁 座礁船
魔導世界の区画分けは、『第〇魔道』という形で行われている。
つまり『第七魔道』というのは、冒険世界でいうところの『〇7ぐらい』。
なお、魔道ごとに異なる空間で、実際に繋がっているわけでは無いとのこと。
……イメージ的には、小さな球体が透明な糸で繋がっているようなものだ。
「たしか、生産世界と似た感じで試練を突破すれば先に行けるんだっけ? ……にしてもまあ、こういう場所に出るのか」
《魔道ごとにレベル差はあまり無く、第一魔道も第七魔道も、そして確認されているもっとも数字が大きい魔道──第十魔道もレベルに差は無いようです》
俺が転移した先、それは船室の中だ。
座礁船はかなり古く、床や家具もすべてボロボロ……だが魔法陣を設置してある場所だけが、とても整っている。
「アンデッドは……うん、居ないな」
《その辺も整備されているようですね。安全とは言い難いですが、それでも死の危険は無いようです》
「……普通はな」
死に戻りレーダーで周囲を探り、一先ずは安全であることを確認。
だが、ここから先ほどの場所へ行けるので誰も来ないとは限らない。
「とりあえず、“ダンジョンレーダー”……周辺には無いな。たしか、迷宮がたくさんある魔道があるんだよな」
《第三魔道ですね》
「……隣接してない以上、普通の手段じゃ行けなさそうだな」
《そちらに関しては、転移を専門とする魔導士を雇えば問題ございません。少々割高となりますが、無所属の者もございます……ですがおそらく、第三魔道にはございません》
木を隠すなら森の中というが、それはつまり森のどこかに在るということ。
それでは神秘性は薄い……とはいえ、どこに行けばいいのやら。