魔導世界密入 その01
魔導世界密入 その01
魔導神話についてお勉強。
どうやら、潜り込んだ神殿は魔導神話のものだったようで……。
失名神話の神殿を探し、再び移動開始。
「──って、神殿は無いんだな」
《冒険世界、そしてイベント世界においても失名神話の神殿そのものはございませんでした。そうなりますと、何らかの形で干渉できる場所に行かねばなりません》
「精霊神様は森人の隠れ里で隠れて信仰していたし、他の神々も神練とかじゃないと会えなかったな……神練はさすがに、こっちの世界で起きないよな?」
《おそらくは。絶対とは言えませんが、失名神話の神々は魔導世界において強い干渉力を持ち合わせていないと思われます》
まあ、神殿無かったし。
アレからケルト神話の神殿は見つけたのだが、それ以外に神殿を見つけられなかった。
なのでとりあえずは諦めることに。
いちおう神殿の在る付近を探し回ったのだが、どうやらここは魔術関係の区画になっているらしい。
いわゆる神秘関係、それがこの辺りで育てられる術式のようだ。
信仰系だけでなく、人の歴史から組み上げた魔術式とやらを編み出しているとのこと。
「まあ、魔術は『騎士王』がいつも作ってくれているからよく分かるけど……ただ、アレは普通の魔術と違うんだよな」
今も発動中な魔術“ 虚絶ノ衣 ウツロナルマトイ ”。
たしかにこの迷宮に入ってすぐにバレたのだが、アレはおそらく『八大星魔』関係の何者かなのでいちおう例外にしておく。
それを除けば、未だに隠蔽の魔術は誰にも破られていない。
制約などで強化しているが、魔導世界での改良無しでやれているからな……さすがだ。
「って、そうじゃない。『SEBAS』、そろそろできたか?」
《逆探知は行いましたが……おそらく、表示された場所は偽装されたモノです》
「まあ、いかにも隠れ潜んでいるみたいだしそりゃそうか。本当なら一発で呼び出し、そのまま暗殺……ぐらいの流れだったからこそ逆探知できたわけだし」
そう、魔力を遮断している間にこっそり実行していた逆探知。
失敗すること自体は分かっていたが、それでもできることはあると試みていた。
「で、その場所は?」
《第五魔道を模した森林地帯ですね。偵察ドローンが多くの魔導士を確認しております》
「待ち伏せか……ここであえて襲撃して、情報を聞き出すみたいなやり方もありそうなんだけど。うん、正攻法は無しか」
今回は相手の領域なのだ、そこまで派手なことはできない。
生産世界の時……は割と暴れたが、今回は地味なやり方で行こう。
◆ □ ◆ □ ◆
迷宮『求まれぬ道』 ???
(──何を、するつもりだ?)
星より命を下され、監視を続けていた侵入者──『生者』。
彼の者がここを訪れる、それですら想定外ではあるのだが。
侵入すること自体は『愚かな賢者』が動くことで発覚していた……そのため、それぞれの思惑を抱き『八大星魔』たちは彼の者が自らの領域を訪れることを望んでいた。
──しかし、『必要悪』は違う。
それでも来てしまった以上、星の命に従い対処を行わねばならない。
ゆえに監視網に引っ掛かった直後、こちらに連れてきたかった……のだが。
何らかの手段を用いそれを回避、今なお迷宮内を徘徊し続けている。
監視を続けていたのだが、ついに何かを始める様子を『必要悪』は見ていた。
(……姿を晒した。でも、魔力は届かないままか)
術式さえ通じれば、すぐにでも呼び出すことができたというのに。
こちらに招待するため、配下に指示を出したがその誘いにも乗ってこない。
だが、姿を晒したということは何か目的が有るのだろう。
すぐに配下に座標を伝え、迎えに行かせようと──
『“ダンジョンガイド”──起動』
「? ……ッ!」
『なるほど、ここですね』
転移を用いた彼の者がどこかへ移動。
すぐにそれを補足して見たのは、彼の者が在る場所に触れている光景だった。
(な、どうして……)
『メカトラ、出番です──『展虎解放』』
彼の者が虎型の機械──否、変形した鍵をそこに突き出すと、目の前に道が開かれる。
そこはこの迷宮の重要区画──『必要悪』の居る場所だった。