魔導世界密入 その22
魔導世界密入 その22
どうやら『必要悪』が俺を誘導するために刺客を差し向けていたようだが、穏便に行きたい俺はその誘いに乗らなかった。
ならばどうするのか──そう、少しでも配下が侍っていない間に直接乗り込む。
そんなこんなで、迷宮を探すために使った『プログレス』を再利用して場所を暴いた。
「『ダンジョンアタッカー』、その効果は迷宮に特化しています。なので、隠し部屋などの発見にも使えるんですよね」
「…………」
「何か仕掛けをしていたようですが、そちらはメカトラに何とかしてもらいました。最上級の解除能力、それが彼の能力です」
『ガウッ!』
鍵の姿になっているメカトラは、装飾具となっている顔から嬉しそうに吼える。
物理によるものだろうが術式によるものだろうが、それが閉じたモノなら問題無い。
「さて、初めましてと言うべきでしょうか。私は『生者』、冒険世界より参りました。失礼ですが、貴方様は『必要悪』様でよろしいでしょうか?」
「…………」
コクリ、と頷いた潜む者。
術式による認識阻害だろう、『八大星魔』のレベルで構築されたそれはこちらに大半の情報を掴ませない。
陽炎というかホログラムというか、ノイズに包まれたナニカとしか認識できない現状。
必死に『SEBAS』が解析しているが、何も連絡が無い以上まだ不明なのだろう。
「そうですか、ならば改めましてご挨拶を。ご招待を受けたにも拘わらず、このような手段に出てしまったことをまず謝罪します。ですが、右も左も分からないない場所でして、こちらも混乱していたのです」
「…………」
[────]
「?」
「…………」
[そうか。ならば仕方あるまい、どうやら行き違いがあったようだな。ああ、すまないが会話は不得手でな。このような手段を用いさせてもらう]
何ともまあ、キャラが濃い人で。
ナニカ──『必要悪』の前に浮かぶ、文字の羅列……それは魔力によって編まれた発言内容だった。
こちらとしても、声紋からいろいろと解析するつもりだったので、なるほどこれはうまく避けられたと内心舌打ちをしたくなる……敵(暫定)ながらあっぱれ。
「…………」
[改めて、こちらも挨拶をしよう。私がここの主『必要悪』と呼ばれる者だ。さて、先に一つ言っておこう──こちら側に『生者』を害するつもりは無い]
「……ふむ」
「…………」
[『八大星魔』に星より命は下っている。だが、それに従うつもりは無い。信じるかどうかはそちらに任せる。だが、契約をしても構わない]
契約の効果はすでにチンピラで見ている。
そして、『八大星魔』レベルで誓うのであればそれはかなりの効果となるだろう。
ただまあ、『八大星魔』の中でもかなり特殊な存在である『必要悪』。
最悪、しばらく来れないだけだし……そうだな、賭けてみようか。