魔導世界密入 その27
魔導世界密入 その27
侵攻を受ける『必要悪』の領域。
当人から確定の情報で、『八大星魔』の参戦を告げられてしまった。
こうなった以上、徹底抗戦するしかない。
一時的に共闘状態にある『必要悪』のためにも、支援を本格的にやっていく。
「……けどその前に、情報収集だな。今現在分かっていることを」
《畏まりました──投影します》
網膜に映し出される、『SEBAS』が集めた今回の侵攻に関する情報。
それは[掲示板]のものだけでなく、聞こえてくる会話なども含まれている。
「……『覆魔殿』、『界樹の御子』、それに『魔海の主』か。三人も出してくるとは、星もかなり本気なんだな」
《他にも有力な休人たちが多数、かなりの人数が参加しているようですね》
「正真正銘、星がそこに住まう民たちに告げた使命みたいなものだし…………報酬の方もかなり豪勢に振る舞っているみたいだな」
使命感の薄い休人でも、参加したくなるようなレア物ばかり。
運営公式のものじゃないので課金アイテムなどは無いが、それでも希少なものばかり。
蘇生薬やら万能薬はもちろん、術式改良の最上位使用だったり……。
そしてMVPには、星直々に願いを聞いてもらえる権利があるそうだ。
「…………俺、そこまで嫌われることしたのかな? 正直、全然心当たりが無いな」
要するに、報酬の価値が高ければ高いほど俺への殺意も高いというわけで。
しかしまあ、そこまでやる理由がまったく思い浮かばないのだ。
「その辺はいいか。問題はここだな」
《──内部での殺害を許容、討伐時に発生する業を無しに。また、一部犯罪行為も無かったことになると》
「本格的に殺るつもりなんだな。ただ、ここは『必要悪』が言った通りもともと想定されていたことなんだろう。問題は、それを許容していたかどうかなんだが……まっ、俺には関係無いか」
《そうですね──旦那様、いかがなさいますか?》
「決まっているだろう──むかつくから……じゃない、そんなことは阻止してやる!」
うん、その方が家族からも尊敬されるに違いない!
悪であろうと見捨てず、正義を大義に暴れる殺人集団の魔の手から救う!
そしてそんな映像を、ぜひとも鑑賞会で観てもらう……のは恥ずかしいから無しだな。
たぶんいろいろやり過ぎるだろうし、そもそも手段は選んではいられない。
「というわけで、そろそろ本格的に不味くなりそうだし動くか……どうせ、現状のままだとバレるだろうし」
《蘇生薬、万能薬共に準備完了です。いつでも使用可能です》
「ただドローンで撒くだけだと、いずれ無効化されるしな……『プログレス』、使うか」
唯一、『八大星魔』が使うことのできない存在──それが『プログレス』だ。
相手に休人が居る以上、絶対ではない……それでもやる価値はあるな。