魔導世界密入 その31
魔導世界密入 その31
人形を囮にして、転位を実行した。
二つの生成術、そこに『プログレス』を組み合わせた武器操作……無限じゃないが、膨大な数の剣製はできているな。
「──っと、失礼しますよ」
『!』
「遅いです──『死闘の舞台』」
そこは侵攻してきた魔導士たちの中心。
ある集団のすぐ真上に転位した俺は、すぐその手にしたアイテムを行使した。
これにより、俺と指定した対象のみが隔離され戦いを強制される。
そのため、対象を守ろうとした魔導士たちは抗うこともできず距離を取らされた。
「……これは」
「術式でも、物理現象でもございませんよ。このような方法でも無ければ、貴方と話す機会は得られませんでしたので。ご無礼をお許しください──『覆魔殿』様」
第一魔道の支配者、魔導世界における最強の魔法使い──それが『覆魔殿』。
今回、時間を稼いでいる間に接触したのは『八大星魔』の一人だった。
「ふむ、『生者』……今回のターゲットか。わざわざこのような場を設けるからには、こちらにも益のある話なのだろうな」
「それはどうでしょう。ですが、そうあればいいと思ってはいますよ。一先ず、ここを出る条件をお伝えしておきますね──どちらかが死ぬ、それで出れますよ」
人によってはこの瞬間に俺を殺すのだが、『覆魔殿』はそれをしない。
確信があったわけではない、だが一番こうなる可能性を見いだせた『八大星魔』だ。
……まあ、そもそも殺したところで今は設定を弄っているので、死に戻りではなくギリギリまで粘ったうえで蘇生薬による復帰が行われるんだけどな。
「出る必要はあるまい。目的を果たすのであれば、貴公をこのまま縛り付けるだけでいいのだからな」
「……でしょうね」
「いろいろと聞かせてもらいたいこともあるのだ、他の者に邪魔されぬこの時間をよくぞ設けてくれた」
「お褒めいただき光栄です。さっそくではありますが──っと、これは面倒な」
俺と『覆魔殿』を囲う『死闘の舞台』は、破壊不能オブジェクトレベルの結界によって外部からの干渉を防いでいる──しかしそれでも、攻撃を受けないわけでは無い。
「──『界樹の神子』か」
「となると、この根は世界樹ですか……何とも立派な」
「本来であれば、縛り上げた対象から根こそぎ力を奪い取るがな。この結界もまた、大変興味深い」
「そう、それです。私がこの世界を訪れた理由こそ、結界にございます。このままでもお話はできますので、どうかご協力願えませんでしょうか?」
やっと本題に入ることができた……こちらに来てからいろいろとやってはみたが、その辺の確認も魔導世界最高の魔法使いに確認して見たかったのだ。