魔導世界密入 その33
魔導世界密入 その33
一先ず、俺の愚か過ぎる行いを自分なりに評価したらしい『覆魔殿』。
だが、自分だけでは手伝いきれないとのことで、別の人物の協力を図ってくれる模様。
その視線の先には、擬似的に出現した世界樹とその洞に居る女性が──
「──『界樹の神子』、あの方であれば可能であると?」
「魔法は元より、この星や異なる世界で働くシステムを基に、自ら術式を行使するためのものだ。故に、貴公の考える愚かで賢く面白い術式を自力で運用することはできまい」
「……まあ、そうですね」
「が、その点奴は違う。精霊術、呪術、あるいは聖術や星術といった自分では無いナニカの代行者として用いる術式は、まさに貴公へうってつけだろう」
こちらの世界に滞在して分かったこと、それは術式が大きく分けて五種類に分類されていること──先ほど挙げられたモノは、要するに自他を媒介とする術式だ。
そして、『八大星魔』においてそれらに長けた存在──それが『界樹の神子』。
先ほどからここで大暴れしている世界樹、それもまた彼女が生み出したモノだ。
「第五魔道に存在する世界樹、アレと契約することで無限の魔力を得ているらしいな。そこに星が関わっているからこそ、奴は基本的に星の命に忠実だ……さて、そんな奴をどのように 拐 かどわ かす?」
「か、拐かすってそんな……いやまあ、お気持ちは分かりますがね」
「ふっ、『生者』がどのように振る舞うか楽しませてもらおうか」
「え、えぇ……」
今は結界が俺たち……じゃなくて俺を守っているが、『覆魔殿』としてはそこから飛び出し華麗に行動を封じる──といった展開がご期待なのだろう。
「…………他言は無用ですよ?」
「さてな、内容次第と言ったところか」
「ハァ。すみません、お話を聞いて──!」
まずは声を掛けようとしたところ、世界樹が結界を激しく打ち付ける。
まったく聞いてくれなさそうだ……仕方がない、切り札を使うか。
「──ここに、特別な世界樹由来のアイテムがございます!」
ピタリ、と言って良いほどに動きが止まった世界樹。
だが結界の前に張り付き、根っこが揺さぶられている……強請っているみたいだな。
「えっと、お皿のような形にしていただけると……あっ、はい。ありがとうございます」
あからさまだ、とこの展開に『覆魔殿』も顔を隠しながらも笑っていた。
俺はそれでも緊張感を維持し、結界の中から外側の根っこにアイテムを並べる。
まあ、[インベントリ]の出現場所を弄るだけだし……普通に手を出したら、根っこで引っ張られそうだし──さて、これで勘弁してもらえるかしら?