魔導世界密入 その50
魔導世界密入 その50
術式の改良を始めた。
それと同時に、:DIY:を発動させて。
訪れてすぐに得た情報で、生産の要素が関わらないため:DIY:の効果が術式の改良に影響を及ぼせないことは把握している。
「ですが、ある程度確認していますので……錬産術起動──“試作錬産・術式改竄”」
使うことができない理由、それは先に語った通り生産要素が術式改良には無いこと。
なのでそれを改善することで、どうにかできないかを試した結果……。
「!」
[……何という魔力だ]
「ふぅ、どうやら成功です。効果は部分的に生産の要素を組み込むというもの、純粋な生産でも魔力術式でも無い。こちらの世界で得た裏技の一つです」
まあ、用途が極めて少ないしそれなりに条件が多い面倒臭さが目立つ裏技だが。
攻撃に使うことはできないし、使用回数やクールタイムなどの制限もあるからな。
それでも、今回一回のためだけならばまったく問題無い。
素材生成によるリソース追加はできないけれど、魔力供給だけならば無限に行える。
「そして、追加リソースとしてこれを使いますよ」
「──!」
[まさか…… 遺製具 レリック を?]
「弱くとも『超越者』、必要とあらば費やしてみせましょう」
術式のリソースを増加するために、遺製具由来の素材を追加した。
アイスプルは人造ユニーク種の宝庫、適した個体の素材を確保済みである。
そんな素材を加えることで、素となった個体の能力が術式に加算される。
これもまた、魔導世界でしか起き得ない特殊な理によるものだ。
そうして膨大な魔力と遺製具素材の力も借りて、結界の術式はまったく新たなモノへと生まれ変わっていくのだった。
◆ □ ◆ □ ◆
「──“ 災星護界 ターディナ 》”」
術式が完成する。
追加リソースは上手く組み込まれ、術式名はそのまんま生前の名前を引き継いだ。
生前の姿から特典としての姿まで完全に調整をしてあるので、効果の方も見込める。
そんな術式の詳細を確認しつつ──鳴らされた警鐘を無視し、頭を下げた。
「ありがとうございます。お陰で結界は完成しました」
「──」
[いや、こちらこそ良い術式を見せてもらった……興味深いな]
「……ああ、それと。交渉が済みましたのでやらずとも大丈夫ですよ」
「!」
[……気づいていたか]
何やら『SEBAS』がやってくれていたようで、それが済んだことを教えてくれる。
「……」
「──」
[……]
お互い、これ以上は何も語らない。
それからしばらくして、俺は魔導世界を去るのだった。