星敵討伐 前篇
星敵討伐 前篇
冒険世界
契約として、『愚かな賢者』に魔導世界で得た術式を提供した。
今回の借りは返し、またいづれ貸しを作ることになるだろう。
「──というわけで、これが完全版だ。例の術式は向こうもそうだけど、それ以外に関しては指定が無かったからな」
「ふっ、交渉事が上手くなったな」
「上手くなったって……俺、向こうじゃいちおう会社員だぞ? 営業じゃないが、コミュニケーションぐらいは取れるわ」
「商人だったな。だが、手練手管が増えているのは事実だろう? 相手もこちらも得をする、そういった振る舞いは王であろうと商人であろうと重要だぞ」
取引場の提供者である『騎士王』に冒険世界へ戻してもらい、今に至る。
大変満足げにしているのは、術式のお陰かお礼の品である焼き串のお陰か。
いろいろとあった魔導世界への密入界、それでも得たモノは大きい。
……どうやら裏では、何かを失っていたらしいけども。
「さて、本題と行こう。『生者』、また向こうで派手に動いたようだな」
「そりゃあ、狙われているし」
「生産世界の時と違い、今回は完全にマークされていた形だ。手札をすべて晒していないことは分かるが、その隠したうえで自世界が誇る最高戦力を潰されたと考えれば、対応もまた違ってくる」
「…………やべっ」
俺が見せた手札の中でも、一際目立っていたのはやはり『プログレス』関係だろう。
最近は少しずつ、自身の『プログレス』で商売を始めたモノも増えているんだけどな。
具体的に言うと、Aの『プログレス』で媒介を作りBの『プログレス』の能力を装填。
使い切りタイプで販売……と、言ってしまうと俺の劣化版みたいな感じだ。
だが誤魔化しが効くようになったため、今回のような振る舞いに打って出た。
……分かる人には、大して意味が無いとは思うけどな。
「結論から言おう──前回よりも派手に、討伐隊が結成される。なお、今回は『超越者』たちは動かない……が、報酬が報酬なためそれ以外の全住民が動く可能性を持つ」
「…………報酬って?」
「各星の裁量にもよるが、大抵の願いは叶えるそうだ。不老不死でも尽きぬ財でも、それこそ新たな『超越者』になりたいという願いであろうとな」
「俺、そこまでされる必要ある?」
もうイジメだろ、それ。
すでに『SEBAS』から、何かヤバい存在として認定されたという話は聞いていた。
それを示すように、[称号]として不吉なモノも新たに獲得していたし。
……いろいろと疑問は湧いたが、とりあえず考えないことにしました。
「ちなみにだけど、俺って休人だから死んでも蘇るだろう? なら、何を以って俺を討伐したことにするんだ?」
前に武闘世界から『飛闘』が来たときは、そういったシステムが働かない宇宙までぶっ飛ばしてから殺す予定だったようだが。
ちなみにその場合、一定期間[ログイン]できないだけで再度[ログイン]は可能だ。
その時間というのも精々三日ぐらい、俺を引退させるなどは不可能である。
──『騎士王』ならば知っているだろう、俺の倒し方をさ。