監獄立案 後篇
監獄立案 後篇
滅亡世界 アンノウン
突如現れた【星賢者】に、監獄(仮)に関する話をした翌日。
俺は『騎士王』を経由して、ある場所に来てほしいという伝言を受け取った。
「…………良かった。さすがにまだ、何もできていないよな」
「……それはどうだろうな?」
「なに、そのあからさまな言い方」
そんなこんなで、俺と『騎士王』は共に再び滅亡世界へとやってきている。
あの時は侵略を仕掛けてきたバシビウスを殲滅するためだったが、今回は違う。
なお、そんなバシビウスたちだがこの世界特有の霧の中でしか存在できない。
だからなのか、周辺一帯から霧がすべて払い除けられていた。
「そういうことができるのも、凄いヤツだけなんだろうけど……」
「──はーい、いらっしゃいませー!」
「その中でも一、二を争うレベルでヤバいヤツがここに二人も居るんだよな」
「……おい、それはどういう意味だ?」
言わずもがな、言葉通りだろうに。
ジト目を向ける『騎士王』とは目を合わせないことにし、代わりにこちらへ近づいてくる【星賢者】と話をする。
「で、呼び出された理由なんだが……いちおう聞いてもいいか?」
「えーっと、上からの報告をお伝えすることになりましてー、可能であれば直接見ていただきたいとのことですー」
「うん、まあ案を出したのは俺だしその辺は理解できる」
「つきましてはー、所定の位置にー『生者』さんには立っていただきたくー」
雲行きが怪しい。
この後の流れもだいたい分かっているし、そもそも案を出した時点で『SEBAS』もまたこの流れを予測していた。
準備期間が一日しか無いというのは予想外だったのだが、それでも生産ラインをフル稼働で回して大半の準備は終わらせている。
だからこそ、大した怯みも無く指定された場所に俺は立つ。
すぐに何かが起こるということは無く、まずは説明を始める【星賢者】。
「あの後すぐに星同士で話し合いが行われましてー、見事監獄の案は採用されましたー。うわー、パチパチパチパチー!」
「そうか……ってことは、ここに監獄が建設されることになるのか?」
「そうなりますねー。どうやらこの星ー、すでに意思の方が絶えていたようですのでー。それぞれの星からリソースが提供されー、代行者という形で今回はわたしがそのお役目を担うことになりましたー」
「……いろいろと気になる単語はあるが、要は【星賢者】が監獄を造り上げるってことでいいのか?」
そういうことですー、と間延びした返事をする【星賢者】。
それと同時に、とんでもないエネルギーを発する長杖が彼女の手に顕現した。
「これが代行の証ですねー。一振りすればあら不思議―、監獄が完成しますー」
「……で、俺がそのまま収容されるわけだ」
「──逃げないんですかー?」
「言っただろう? 一回は入るって、それで満足してもらうとも。あからさま過ぎる振りで誤魔化してくれたことには感謝するが、さすがに年貢の納め時ってな。悪いが、このままで居させてもらう」
これ以上は何も語らない。
ただ地面に胡坐をかいて座り、その瞬間を待つ。
「……分かりました。では、どうかご武運をお祈りします」
「祈るなら失名神話以外の神でも、星でも無くうちの可愛い奥さんにしてくれ。俺にとって最高の女神様だからな」
「検討はしましょう──『■■■■』!」
認識できない言語で、口調やら顔つきを変えた【星賢者】が叫ぶ。
同時に長杖が地面に突きつけられ──俺の意識はプツリと途絶えた。