監獄生活 その02
監獄生活 その02
迷宮型の監獄に収容された俺。
とはいえ檻の中ではなく、広々とした世界に放り投げられたといった感じだが。
「これは……何というか、普通だな──住人のヤバさ以外は」
ドローンを飛ばして発見していた街。
そこは人が練り歩き、売り買いが行われ、賑わいを見せるごく普通の街。
……と言いたいところなのだが、俺の脳裏で鳴り響く死亡レーダーが否! と叫ぶ。
そりゃそうだ、居る奴全員が危険因子とみなされるヤバい連中だし。
「というかこれ、魔物が擬人化したのも居るな。どうやってるんだ?」
《おそらく、ここに送り込む過程で強制的に擬人化を付与したのかと。星敵に送るリソース、そこに細工を加えれば誓約やルールなどの情報と共に送り込めます》
「ああ、某聖杯みたいな感じか。好き勝手に暴れるようなヤツを、わざわざここに送り込むのは無意味だしな」
《加えて、街そのものにも戦闘行為の禁止という決まりがあるように思えます。稀に手を出そうとした者が、不自然な形で動きを止めております》
そりゃあなんとも、後が怖い話だ。
だがここに居る限り、少なくとも争いを望まない連中は安全でいられる……が、そもそもそんな奴は星敵になんぞ選ばれないか。
「っと、みんなから向けられる冷たい視線」
俺のことをどう聞いているか知らないが、間違いなくロクな情報では無い。
誰も彼もが殺意を向け、そうでなくとも利用する気満々の欲に塗れた視線を向ける。
「味方は居ない、孤立無援な状態……ってわけでもないか。『SEBAS』も居るし、他にも頼れる奴がいっぱいだ」
だからこその仕込みなわけだし。
今日この時に至るまで(一日だけだが)、きちんと用意はしていたのだ。
「『SEBAS』、確認だが。この監獄内で戦闘を起こして、問題は発生するか?」
《完全には解析を終えられておりませんが、少なくとも星敵討伐時に発生する報酬の理が整えられておりません。また、ヴァルハラの死に戻りに似た仕組みが組み込まれておりますので、おそらくは死んでも蘇ります》
「完全では無いにせよ、それならまあ細工の事態は免れるか……ならそうだな、今回は思い出作りといこうか」
本来ならコミュニケーション能力と交渉を駆使して、仲間を増やしてから力を合わせて脱獄……という流れが良かったのだが。
さすがにギラついた目を向けてくる彼らとは、仲良くなどなれない。
それに……なんかこう、悪い連中と拳で語り合うのは青春ドラマの定番だろう?
「こっちの方が、映像として観てもらったときに盛り上がりそうだしな──これから外でバトルしようぜ! 早い者勝ちで三人な!」
そう言って、再び街の外へダッシュ。
後ろから先ほどよりも凄い殺意を感じ取れるが、今は気にしない──さーて、個々の連中はどれぐらい強いのやら。