監獄生活 その23
監獄生活 その23
街に居るであろう、まだ見ぬ強い星敵。
どうやら収監されて大して経っていないにも関わらず、転移の阻害やら誘導やらの仕込みまで済ませている者が居るらしい。
なお、後で聞いた話だが特定の者──つまり俺に限定したものなんだとか。
……そりゃあ無策で突っ込んでくる他の星敵とか、相手にするのは面倒なのだろう。
「──改めて、ここが街か」
そう呟く俺、だが実際に俺がいる場所は街であって街ではない。
必死に考えた、転移系の事象に干渉するようなヤバい星敵が居る街に行くのは不味い。
ならばどうするか……どうせ他にも、別の星敵が異なる形で罠を張っているはず。
そうだ、じゃあ行かなければいい──そのうえで、変わり身を送り込もうと。
「よし、そのまま進んでくれ」
『はい、畏まりました』
ネタ晴らしをするなら、イベント時も良く行っている視界の同調による望遠。
何もない場所で隠れ潜み、代わりに街へ向かっているエクリの見るモノを観ていた。
俺自身が向こうに憑依する形で行くこともできたが、それを解除するような星敵が居ると困るのでこういった形となっている。
逆探知なども想定しており、俺の周囲にはそう簡単には手を出せないよう仕掛けをいくつか施してある……そこまでしてなお、星敵には対処しきれない気がするけどな。
「…………ただ、今の俺って傍から見たらかなりヤバいヤツな気がするけどな」
今は簡易的に設置したベッド(質に関しては最高ランク)に仰向けになっているが、その状態でひたすら言葉を紡ぐ様子は、寝言とも思えない病的なものだ。
俺自身は俺を認識できないのでいいが、その光景を見られたら……たとえ星敵、若干動きが止まるかもしれないな。
「そうだ、エクリ。かなり見られている気はするんだが、そういう視線から成る能力とかは掛けられていないな?」
『掛けられてはおりますが、創者様の御作りになられたこの体には通じていません』
「そういうことじゃないんだが……つまり、普通にバレていると」
『隠していないので、そうなるかと』
隠れ潜む計画はあったが、あえてエクリには堂々と街を歩いてもらっている。
非戦闘の決まりがどうなっているのか、また彼らの反応を見たかったのもある。
視線での干渉──おそらく魔眼系のそれが通じている辺り、抜け道は多いのだろう。
だからこそ転移先の書き換えなど、直接でなければ手を加えることができると。
「勝手に増殖する、俺たちの手が入っていない細菌でもばら撒けば大半の星敵は一掃できるかもしれないな」
創作物から引っ張ってきた知識から、そんな野蛮なことを思いつく。
……まあ、脱獄するその日には、周りから邪魔されないように使うことも考慮しよう。