脱獄計画 その04
脱獄計画 その04
闇が模り、黒に染め、闇属性の術式を乗せた一発の弾丸。
そこにエクリの闇属性強制弱点化を加えた結果──異形は風船のように弾け飛んだ。
「え、えー……」
『お見事です、創者様』
「エクリも成長しているから、その分だけ威力も上がっちゃったかな? ……過剰攻撃なのね、アレ」
エクリはただのアイテムと違い、成長という可能性を秘めている。
まあ簡単に言ってしまえば、生物と同様にレベルシステムの恩恵にあやかっていた。
同じく使えば使うほど、エクリの能力も効率が上がり性能も上がる。
普段使いしている“闇点発露”、人造とはいえ固有種の能力なのだ……将来有望だ。
「その辺は後で良いか。問題は、この後なんだよな……もう来た」
『■■■!』
「──“万物闇換”、“千変宝珠・檻”」
『■!?』
闇で飛んできた異形を囲い、そのうえで術式でさらに檻を創り上げる。
それをコーティングする形で闇を塗り固めていき、拘束をきちんと行う。
内部で暴れているようだが、闇は檻の隙間も覆っており何も外側には漏れてこない。
空気穴は創っていないはずだが……それでも暴れる速度は変わらず、続いていた。
「あれ、どうなってるんだ?」
《元となった個体自体は呼吸を必要としておりますが、侵略者が憑いた影響で強制的に生存と敵対存在への攻撃を強要されているのでしょう》
「本能のままに、暴れ回っているわけだ。凄い面倒臭いな」
《加えて想定が正しいのであれば、異形と化したことで生存そのものに無理は無くなったものと思われます。檻が壊れるようと暴れ続け、辺りのもの──特に旦那様に関わるものへの攻撃を止めることは無いでしょう》
俺が狙われる理由は至ってシンプル、星敵認定後の報酬受取相手に制限が無いから。
たとえ孤児でも宇宙から来た化け物でも、殺すことさえできればいいらしい。
なんて話を、現実でタクマから聞いた。
……休人初、そしてEHOが開始してから最大のイベントみたいな盛り上がり方で、休人の正しい殺し方が調べられているらしい。
アナウンスがされたわけではないが、原人たちが休人たちに尋ねているんだとか。
休人『生者』、死んでも死なない星敵を倒すにはどうすればよいのかと。
「文字通り、全世界の敵になっちゃっているから、異形でも何でも俺を殺しに来るわけだな。バシビウスって、そういうの考えられる知性あったっけ?」
《下位の個体は無いに等しいでしょう。ですが、上位個体から命が下るという事象は確認されております。そちらに高い知性があるのであれば、旦那様を優先して狙うという可能性も無いわけでは……》
「ははっ、まあいいさ──でも、今は少し隠れておくか」
擬似スキルから隠蔽を選択。
周囲に気配を溶け込ませ、迷宮の中に隠れ潜む俺だった。