脱獄計画 その12
脱獄計画 その12
混沌の使徒に対抗するため、神殿を造る計画を『修羅』に話してみた。
実際の所、この『星層監極』自体に神殿が無かったのも問題だったんだよな。
「お互いに不干渉を決め込もうとしたから、その隙を突かれたんだよな……」
星と神、それぞれの思惑が絡み合った結果生じてしまった隙間。
そこに潜り込まれてしまったからこそ、奴はここに来た。
なので俺はそれを塞ぐべく、神殿を建ててシャットアウトを図るつもりである。
具体的にどうするか、と言わればとても簡単な話。
「──さぁ、皆さんお願いします! 報酬は事前に提示した通り、一時間の食べ放題を予定しています!」
『うぉおおおおおおお!!』
食事で釣った星敵たちが、街の外で巨大な神殿の建設に励んでいる。
なぜ外かと言うと、その方が魔物の星敵が本領を発揮しやすいからだ。
彼らは広い迷宮から素材を集め、それを加工している。
ある程度の位置に置いたら、それを人の星敵や人化状態の魔物の星敵で調整していく。
何だかんだ、協力者は多い。
それは今までの積み重ねもあるし、単に混沌の使徒の思い通りになるのは嫌だという打算的な考えによるものもある。
だが結果として、一丸となって一つの作業に勤しむ姿は……なんと素晴らしい!
「──はいそこ、こっそり時限式の術式を仕込まない」
「チッ!」
「わざと舌打ちで殺さないでください。あとそこ、隠してもその禍々しさは出ますよ、私が死にますから」
「くそっ、お前の雑魚っぷりを忘れてた!」
──などと言うまでもなく。
先ほども言った通り、打算ありきなのだ。
それは俺への協力にメリットがある、という一点しかない。
そのメリットによって、俺に不利益が生じても問題無い……むしろその方が良いと思うような連中も混ざり、神殿造りはかなりカオスな状態となっていた。
「改めてお伝えします。どれだけ細工をしようとしても構いませんが、その代わり現場でそれを咎められた場合は止めるように。事前に契約を交わしましたので、逆らわせることはありませんよ」
要はバレないように仕込め、ダメなら大人しく仕事をしろという命令。
交渉の際は彼らのプライドを軽く煽ったら一発だった……さすが『SEBAS』。
「都市造りもそうだったんだが、俺が関わる事業は尽く速度が半端ないな……」
《旦那様の世界の技術力でも、まだここまでは及びませんね》
そりゃあとんでもないパワーの持ち主が、コンピューター並みの繊細さで動いたり、物理法則を超越した現象を引き起こすのだから仕方が無い気もする。
──だからこそ、神殿の外側自体はたった一日で完成するのだった。