脱獄計画 その13
脱獄計画 その13
神殿造りは順調に……というわけでもないのだが、それでも蔓延る混沌勢(愉快犯を含む)を退けてたった一日で外観は完成する。
「そして、それからもう一日あればあら不思議──神殿の完成です!」
神殿の外側が出来上がった後は、呑んで騒いでの宴会を開いた。
俺も全力で生産を行い、切りのイイところで終わらせて宴に混ざったものだ。
テンションがハイになったお陰か、今までは若干距離を置かれていた星敵たちとも、少しだけ交流ができた……裏で何を考えていたかは別として。
その翌日、俺一人で神殿の中に籠もり作業し続け──今に至る。
星敵の中には手伝えそうな人材も居たが、あえて俺一人で行った。
「……こうなるのが、分かっていましたし」
「どういうことですか! 混沌の神を神殿に招き入れるなど聞いておりません!」
「理由は説明しますよ、『冥土』様」
メイド、ではなく『冥土』。
冥界関連の神様を、神話体系に問わず信仰するというかなりヤバい聖職者の星敵。
そんな彼(彼女では無い)でも、混沌関係の神には祈りを捧げていない。
事情は知らないが、あくまで秩序めいた冥界の倫理観がお好みなようだ。
だからこそ、神殿の片隅に設置された名状しがたい像にクレームを付けてくる。
一部の星敵が、すでに八つ当たりと称して攻撃──その後、天罰を受けていた。
……この天罰はガチのヤツ、混沌の使徒的にも許せなかったのだろう。
本来なら発狂レベル、だが星敵たちは素のスペックが高いのでしばらくすれば治った。
「私の……星渡りの民の世界に『避雷針』、という物がございます。どこに落ちてくるか分からない雷を誘導し、処理するためのモノです。まあ、こちらの世界にもございますので、知ってはいると思いますが」
「……冒険世界の『機械皇』が、広めましたからね。ええ、怖れ多くも神の意思と呼ばれた『神鳴』を」
「要はアレと同じです。迷宮の至る場所に干渉できないよう、特定の場所に誘導するための装置。あの神像には、そうした効果がございます」
「…………たしかに、あれほどの出来の神像であれば、それも可能なのでしょう」
と言われる神像は、やはり:DIY:の恩恵込みで作られた狂気の一作。
本当に、俺の技術だけで作るのにはいろいろと資格が足りなかった。
その出来栄えは『冥土』も認めるヤバさ。
質の高い神像には、その分だけ崇め奉られる神から影響が及ばされる──天罰もまた、その威光を示すために許された行いなのだ。
「と、いうわけで迷宮内での干渉は問題無くなりました」
「……ですが」
「はい。その分だけ、こちらでの干渉が激しくなりますね。ですが、そちらに関しては対策してありますので」
そりゃあ、神像は一つしか無いわけで。
常時目を届かせておけば、気づかないわけが無いのだ。