脱獄計画 その16
脱獄計画 その16
神殿に蔓延る混沌の気配。
対抗するように俺は銃剣を構え、光弾を射出している。
弾丸無制限、一発必殺の弾丸を結界の外側から放ち──内側へ侵入。
混沌の使途が放った使い魔たちを屠りながら、奥へと向かっていく。
「──お待ちしておりました、創者様」
「ええ、お疲れ様です。さて、そちらの方はどうでしたか?」
『……■■■──』
神殿の奥で俺を待っていたのは、闇で覆われた結界を展開するエクリ。
そして、その中に設置された神像──人型ではなく、それは巨大な目玉。
俺が『邪悪深殿』で見たソレと違い、かなりデフォルメされたデザイン。
だが、そこから放たれるのはたしかな混沌の気配……かなり緩和されているけども。
「そのような言語ではなく、共通語を用いられてはいかがでしょうか? 神像でそれも可能なのでしょう?」
『……よくも、やってくれたな』
「はて、何のことでしょう?」
『惚けるな! よくも、よくも貶めてくれたな!』
本来の姿で会ったとき、認識できない言葉で強引に脳内に語り掛けてきた混沌の使徒。
だが現在、神像を介して伝わってくるのは原人たちが用いる共通語。
それは神像によって行われている事象。
本来、神の言葉は選ばれた者にのみ聞くことができるもの──ではそれが、誰にでも聞き取れるとどうなるのか?
その答えこそ──貶め。
大いなる存在から今の姿にまで抑え込まれた結果、混沌の使徒が有するエネルギー自体が少なくなってしまっている。
だからこそ、俺に怒りをぶつけていた。
それくらいしか……できなくても俺を殺していることに変わりはないのだが、エクリの結界を突破できないぐらいにはなっている。
「さて、もういいでしょう。最後に何か、言いたいことはございますか?」
『……くっ──』
「時間切れです。では、またのご利用をお待ちしております」
弾丸を一発射出。
神像の中に存在する、エネルギーの貯蔵部分に命中。
中に溜め込まれていた混沌の使徒のエネルギーが失われ、強制的に混沌の使徒を神像から引き剥がす。
本来の神像と違い、俺が設計した特別な仕様だ。
これにより、この場でかつ一定時間しか混沌の使徒が干渉できないようにしていた。
「ふぅ……エクリ、お疲れ様」
「いえ、創者様のお役に立つことこそが最大のご褒美です」
「そうか? ならいいんだが……何か要望があれば、すぐに行ってくれよ。これ、これからもしばらくは続くわけだし」
向こうのエネルギーが枯渇すれば、干渉はしばらくできなくなる。
貶められ得られるエネルギーを減らしてはいるが、それでもそれなりに続くだろう。
すでに何度もこのやり取りは、エクリが代行する形で行われている。
……『SEBAS』もそうだが、労う必要があるんだよな。