脱獄計画 その25
脱獄計画 その25
穴から脱出できても、結局星敵たちに嬲られる休人のことは放置。
問題は、彼が現実に届けたであろうこの監獄の情報。
犯罪を犯し、条件を満たしたうえで死に戻りするだけでここに辿り着ける。
いかに星敵とて、圧倒的な数の軍勢にゾンビアタックをされては無傷とはいかない。
「…………と、思っていたんだがなぁ」
結論から言おう──現実世界で数日が経とうと、さして変化は起きなかった。
たしかに後続の休人は増えてきたし、少々も揉め事は起こしている。
が、そんなもの今更。
すでに何度か起きていたことの、回数が少しばかり増えただけ……強いて言うなら、弱い分鎮圧も簡単に済んでいる。
星敵たちに抗おうと休人たちも徒党を組んで暴れるが、それもあっさり無力化。
街を追い出されることは無かったが、何やらスラム街のような状態になっている。
「まあ、お陰で対格上用の『プログレス』能力強化を図ってくれているみたいだけど……やり方も人それぞれで、どんどん可能性が増えていっていて非常に助かるよ」
魔石集めはどちらかというと方向性の指定に必要なだけで、『プログレス』の成長自体は使用中に獲得した経験値で行われる。
まったく無くとも理論上は可能だし、ある意味その極致が『○○マスター』の初期発現者なのだが……まあ、それは置いておく。
重要なのは、そんな経験値稼ぎすらこの監獄内では大変だということ。
迷宮に行けばすぐに……と言いたいところだが、そちらの魔物はすべて凶悪。
意気揚々と挑んだ休人パーティーが、這う這うの体で逃げ帰ってきた姿をツマミに宴会が行われたのがつい先日。
「だから今は、街の外で現れる野良の魔物狩りをしているみたいだな……それもそれで強いけど、迷宮の中よりはマシみたいだし」
星敵たちが生きているだけで、自然と放出される身力。
その余波みたいなもので、外部には魔物が発生している。
来たばかりの頃は生まれていなかったし、街周辺だと結界の影響で生まれない。
だからそれよりも外側で、魔物たちが現れ蔓延りつつある。
休人はそんな魔物たちを狩って経験値を稼いでいるのだが、遠くに行けば行くほど魔物は弱くなっている──彼らはそんな、迷宮の外延部まで出向き魔物を狩っている。
「最初はな、出てすぐの魔物を倒すって張り切っていたんだけどな……」
《星敵たちの残滓といえど、レベルはかなり高位のものですので》
「おまけに手が付けられない分、魔物同士で戦い続けて勝手に強化。余計に倒しづらくなるんだよな……」
迷宮までの道は、星敵がよく通るので魔物たちも避けている。
星敵たちはあえてそんな魔物たちを見逃して、休人たちにぶつけていた。
……しばらく戦った結果、割に合わないと星敵たちも察したのだ。
死に戻りの権能を持つ休人たちは、文字通り旨味が少ないからな。