脱獄計画 その26
脱獄計画 その26
監獄の中で増えつつある休人たち。
だが彼らは思うように動けていない……いろんな意味で、力が足りないのだ。
「まあ、ここでいろいろと完結しているから困りはしないだろうけど。娯楽的な飢えも、別に[ログアウト]すればいいだけだし」
特定の地域でしか就けない職業、得られないアイテムなどもこの監獄では手に入る。
それは監獄内で行われるイベントで、ある程度活躍すると得られる物と引き換えだ。
他者から奪うことは(ここだと物理的な意味でも)不可能だが、取引は可能。
俺は料理を作るときなどに、特別メニューや優先して調理するなどして稼いでいる。
文句があるなら自分も同じようにすればいい、そしてその結果に文句を言わせないだけの出来をこれまで保障してきた──だからこそ、星敵でもあっても取引が成立するのだ。
「けどまあ、いい加減に連中をどうにかしないといけないんだよな……」
家が割れた。
物理的に、ではなく比喩的に。
要は休人たちに家の場所を知られてしまった結果、連日家の戸が叩かれている。
初めの内は強硬策で家を攻撃してきたものだが、それはアウト──この街の規則に引っかかるため、星敵たちが合法的に狩りができると喜んで彼らを蹂躙してくれた。
休人たちには懸賞金……じゃなくて懸賞飯が掛かっている。
倒した数、または質(合計レベル)に応じたランク別の料理が振る舞われるのだ。
当然、発案者も実行者も俺。
彼らを懐柔して、怪獣たちにやってもらっていた……うん、お後がよろしいようで。
「エクリ、ちょっと考え事がしたいから掃除してきてくれ」
《──了解しました、創者様》
注文してしばらく、家の外に静けさが取り戻された。
決して、洒落がダジャレだと察したからではない……八つ当たりではないのだ。
《清掃、完了しました》
「ありがとう……『SEBAS』」
《神殿は現在、不活性化状態です》
「盗聴は無い……かな? よし、今しかないな。休人云々でだいぶ気も逸れただろうし、情報もきちんと仕入れた。実行するなら早いに越したことは無い」
情報屋との取引は、今も続いている。
中には『邪悪深殿』の攻略状況なども含まれていて……ある時、その中に興味深いものが載っていた。
迷宮の層は全部で百。
そして、問題となるモノが存在するのは間である五十層。
脱出自体には更にもう五十層重ねなければならないのだが、上からも下からも探索者が現れる関係なのか、その中間地点こそが一番厄介な場所とのこと。
──ある意味、星々がこの迷宮を築き上げた理由ともいえるもの……厄介モノが存在しているらしい。