脱獄計画 その27
脱獄計画 その27
邪悪深殿 五十層
様々な問題を退け、余裕が生まれた俺は迷宮の奥深くへ。
情報屋から得た情報によると、そこには厄介モノが存在するらしい。
「──ふぅ、討伐完了っと」
前回同様、十階層ごとに配置されたボスを討伐しての移動。
いつものように死んで蘇って攻撃しての繰り返しの果て、討伐を終える。
さすがは上下からの階層移動を阻む中間地点のボス、少なくともこれまでの階層ボスと比べて遥かに強かった。
「まあ、結局のところ上層からか下層からかで配置が違うから意味ないんだけど……逆に言うと、この五十層だけが同じなんだよな」
すでにこの上を目指した者たちが、より凶悪な魔物たちと邂逅しているらしい。
難易度がより高く、以降の調査はそこまで進んでいないようだが……ここは違う。
ボス討伐後に出現する二つの魔法陣。
一つは五十一階層、もう一つは一階層へ向かうためのモノ──だがここで、ある星敵が違和感を覚えた。
その違和感をまた違う星敵が調べ……調査はそこで終わっている。
残念ながら、彼らが情報屋に売った情報はここで切られていた。
なので俺が分かっているのは、この五十層でボス討伐を終えた後、何かの仕掛けがあるということ……そういうあからさまなものって、本当に厄介だよな。
「『インストール:リアルチェッカー』──“神持祈祷:エクストラエクステンド”」
なので使うのは、ファンタジー要素を暴き出す『リアルチェッカー』。
それに加え、範囲を拡大してくれる『エクストラエクステンド』。
通常の方法では調べられないナニカを探り出すため、『プログレス』の力に頼る。
擬似的にコネクトシステムを実行し、周囲の非現実的要素を深く探った結果──
《──旦那様、発見しました》
「よし、ビンゴ!」
それは壁。
継ぎ目があるわけでも色が違うなどと分かりやすい目印があるわけでもなく、ただただ周囲と何ら変わらない壁のごく一部。
詳細は現在解析中だが、その部分に『リアルチェッカー』は反応したらしい。
その場所はいちおう記録して、目に見えるように印(俺にだけ見える)を刻んだ。
《旦那様、解析ですが膨大な時間を要してしまうようです。すでに必要な情報は、記録してありますので──》
「……まあ、普通の方法でやるとしたら、面倒なことになりそうだし──メカトラ」
『ガウッ!』
「これが一番手っ取り早いんじゃないか? やるぞ──『展虎解放』!」
願望機──『プログレス』の上位互換である存在の一つ。
虎型の願望機は俺の願いを聞き届け、叶えてくれる──それはあらゆる枷を操る鍵。
壁にそれを差し込んだ瞬間、空間が大きく歪曲する。
やがてできた歪みの穴に、俺は足を踏み入れるのだった。