脱獄計画 その30
脱獄計画 その30
最奥で待っていた名無しの守護者。
少女の姿をしたその何者かに、いろいろとあってEHOでの体験談をすることになる。
「──というわけでな。無事、大人たちと子供たちは和解したんだ。今ではあの迷宮が外に出るための試練として、有効的に活用されていると聞いているぞ」
「……ほへぇ、仲直りできたようで良かったです」
「ええ。時折貿易品の確認も兼ねて赴くことがあるが、子供たちは張り切って迷宮に挑んでいるよ…………どうしてか、私に難易度が高いと苦情を申してくるんだけど」
今、話をしていたのは竜の里での一件。
一度訪れた以降も、定期的に顔を出しているのだが……迷宮の改築やら、相談事などいろいろと手広くやっているのだ。
それを少女に話していたのだが、一喜一憂していた彼女は、その話の〆を聞いてほっと一息吐く。
最初の頃は淡々としていた振る舞いも、いつの間にやら見た目相応の幼いものへ。
気づけば今のように、何でも聞きたがる少女へ……絶対これ、何かあるな。
「ふむむむ……ツクルさんは本当に、いろんなことをやってきたのですね」
「うん、まあ。子供たちに、妻にいい姿を見せたいと一念発起でやってきました。まあ、まさかその果てに囚人として監獄に収監されることになるとは思ってもいなかったが」
「…………そう、ですよね」
星敵を収監するこの監獄型迷宮。
その内部にある迷宮『邪悪深殿』、その奥深くに存在している少女──普通ではない、だがそこに居る意味がある。
「あなたは……わたしを殺せますか?」
「……唐突だな」
「わたしを殺せば、この迷宮は停まります。こんな場所から出て、あなたを待つ家族の下に行けます」
「…………」
彼女の言うことは事実だ。
逆に言えば、彼女を害することなく迷宮に手を加えるのはおそらく不可能──迷宮の防衛本能は、それを強要するだろうから。
「だけど──それでもそれはしないさ」
「! ……どうしてですか?」
「先に言っておくとだな──そう、家族は俺が収容されていることを知っているし、その脱出をどのように行うのかを楽しみにしているんだ。だけど、そのやり方が少女を殺したというものですと……外聞が少し」
「が、外聞……えぇ」
少々引いているようだが、俺としては死活問題なのだ。
だからこそ、俺は少女の頭に掌を乗せて告げる。
「死に急ぐ必要はないさ。なんてったって、俺は『生者』だからな。それに【救星者】でもある──この星の管理者である君を、救うぐらいわけないさ」
「~~~~ッ!?」
少女──この星の意志そのものに、俺はそう告げた。
これは誓いだ……あと少しの贖罪、いろいろと暴れ回ったからな。