脱獄開始 その04
脱獄開始 その04
現実
「──おい、昨日も更新されていたぞ」
「……だろうな」
神殿で祈りを捧げた後、[ログアウト]を行った俺。
翌日、琢磨から耳にしたのはそんな知っているはずの情報──俺の一日だった。
「しかしまあ、よくも飽きずに続けているよな。そんなに面白い物かねぇ」
「……そりゃあ、星敵なんて超重要人物兼超激レア人間宝箱みたいな連中と、つるんでいるわけだしな。動向は誰だって気になるさ」
「けど実際、やっていることってストーカーだろただの? 正直ちょっとな……」
休人たちの努力により、俺が監獄の中でどういった動きをしているのかは逐一把握され報告されている。
彼らもやることがないのか、わざわざおはようからおやすみまで追いかけてきていた。
……正確にはその理由は、当の昔から知っているのだが。
「おのれ……ジンリめぇ」
「あいつも諦めないからな。あと、単純に掛けられている金が莫大だし。今から行って、それからでも充分利益になるぞ」
俺に執着するジンリ──昔のゲーム仲間であり、同じチームの副代表を務めていた男。
奴にとって、なぜか俺は必要な存在らしく常に狙われている。
が、さすがに奴とて犯罪者になってまで俺は追いかけるような存在ではない。
むしろ、そういった仕事を部下に与えることで何かしらのバランスを保っている。
そのうえで、自分の手が届かない犯罪者連中も懐柔すべく依頼をばら撒いていた。
内容は至って単純──休人名『ツクル』の情報を可能な限り集めろ、だ。
「けど、あえて何も言わないお前にだって何かしらの考えはあるんだろう? そんなの、向こうで[GMコール]でもすれば一発で抑制されるのに」
「……分かってて言っているよな? 正直実感ないけど、これって有名税みたいなヤツだろ。結局、どれだけ訴え出ても全部を取り締まれるわけじゃないだろうに」
直接接触はせず、遠くから見てその動きを報告するだけ。
現実でも有名人がよくされるような、情報の集め方。
だがそのすべてが取り締まられたことなどなく、むしろ露見する方が悪いとすら捉えられることも──つまりどちらも、バレなければセーフということだ。
「で、あえてどうでもいい一日ばっかり見せているお前さんの今後のご予定は?」
「…………最近、妙に羽振りのいい情報屋をどうしばこうか、そのプランを練ろうかな」
「へぇ、そんな奴もいるんだな」
他人事な琢磨はさておき、実際そういう情報屋が居ないわけではない──それはこの世界でも、EHOの世界でも。