脱獄開始 その09
脱獄開始 その09
俺を追いかけてきた休人は、遺製具を俺から借りたエクリが足止めしてくれた。
権限を委譲できる『プログレス』も誕生しており、可能性はまだまだ増えている。
「権限、つまり個別のIDに干渉できるだけの影響力を『プログレス』が得だしている。そんな能力魔物由来で得られるわけ無いし」
《固有種であれば類似した能力を保有する場合もございますが、それでも個人を識別したものは確認されておりません》
「まあ、大まかに使えなくするとかそういう感じだろうな。しかしこれ、上手く利用すれば他にもいろんなものを借りて使うことができるのかもしれないな……」
うちにも似た感じの『プログレス』の使い手は居るが、それはたぶんある人物の模倣にのみ特化したものだし。
おまけに模倣、成り代わりではなく再現が限界となっている。
そういったパーソナリティ、つまり上限関係があるが故のモノだと考察されていた。
圧倒的な欲、それがどんな形であれ必要とされるのが『プログレス』だ。
それを他者に向けることの凄さ、俺には分からないな……。
閑話休題 ばしょいどう
休人から逃げ延びたわけだが、あの後無事処理を済ませたとエクリから報告を受けた。
普通に殺してはすぐに[掲示板]を使われてしまうので、しばらくしてからの解放だ。
解放──それがどういった意味を持つのかは、皆さんのご想像にお任せしよう。
「しかしまあ、脱獄をしたくてもこんな状態じゃ難しいな……始められないな、うん」
休人たちに追い掛け回され、下手に動けば情報を外部に漏らされる(口止め不可)。
おまけに鍵を握るはずの存在が、今は面会謝絶状態。
ただ上に登るだけでは、『邪悪深殿』は終わらないように思える。
順調に星敵たちが攻略を進めているとのことだが、それでもまだ終わらない。
「異常だよな……主人公、というかラスボスやっていけるような連中が束になって挑んでも攻略できないって。ラストダンジョン、そういう終盤辺りで出てくるエンドコンテンツぐらいの難易度なんじゃないか?」
《あるいは、匙を投げるような仕様になっているのかもしれません。ループ式、条件を満たさない限り終わらない……あるいは──》
「そもそもとして、終わりが無いってか? 普通にありそうだから怖いんだよな」
昔、本当にあったゲームの話だ。
クリア後は普通に初期も初期、一番最初のステージに戻されたり、ラスボスを倒した後はただクリアという文字が浮かぶだけなど。
文字通り終わりが無い、そんなゲームがかつては存在しているわけで。
つまり、『邪悪深殿』もまた同じではないのか……俺も『SEBAS』もそう考えた。