脱獄開始 その12
脱獄開始 その12
代わり映えのしない日々が続く。
その間も囚人たちに料理を振る舞い、対価としてこの牢獄の貨幣、あるいは魔物であれば素材の一部などを貰っていた。
「そしてここの通貨もある意味便利だよな。得るのは大変だけど、代わりに得られる物が外の世界よりも質がいいし」
《各星々が提供しあっている関係上、牽制を掛け合った結果でしょう。一枚岩というわけではございませんので、流通価格などものちのことを考えていると思われます》
「星っていういろんな意味でビッグな存在であっても、やっていることはある意味俺たちと同じってことだな……」
ここの通貨──Pは外部へ持ち出すことはできず、一度出るとリセットされる仕様だ。
その辺がかなりシビアなのは、ここを流通の場として利用されないためだろう。
なんせ、各世界でも貴重な素材やらアイテムが多く並んでいた。
装備であればやや旧式だったりもするが、それでもかなり性能のイイ物だったりする。
それらを休人、今では『プログレス』持ちなら誰でも[インベントリ]に放り込んで輸送できてしまう──ただでさえ、休人がそうして持ち込んだ品が一時期問題だったし。
「……そうそう、麻薬……もとい魔薬をばら撒こうとしたバカが居たな。アレはすぐに制裁されたけど」
《星敵にはそもそもとして、効能が低く広まることはありませんでしたが、耐性の低い原人などであると、かなり危険な代物でした》
「それ自体はまあギリセーフだとしても、星敵と手を組んで改良するつもりだったとは。なんて恐ろしい……成功率結構高いんだぞ、その計画」
俺もある程度星敵たちと接しては居るつもりだが、それでも全員ではない。
中には俺を殺す気満々の者や、俺には興味ゼロだが脱獄をするつもりはある者など。
一番厄介なのは、外で星を脅かすレベルの被害を生み出した系の星敵。
訳アリでも何でもなく、ただやりたいからやったという愉快的犯行。
それらを行った者の中には、毒やら疫病やらの使い手も……。
そんな場所にホイホイと麻薬……じゃなくて魔薬を持っていったらどうなることやら。
大慌てで対策はしたものの、死なない休人に沈黙など不可能。
監視はつけているが、いづれは……相当厄介なことになるんだろうな。
「──って、連絡? いったい誰から……マジか、急ぐぞ!」
そんなことを考えていると、[メニュー]経由で何者からか連絡が来たと通知が入る。
形式は[メール]、いったい何なのかとそれを読み──すぐさま行動に移るのだった。