脱獄開始 その23
脱獄開始 その23
立ちはだかるは過去の 災凶種 ディザスターシリーズ 。
そこに迷宮のリソース供給と混沌の使徒の力が加わり、より厄介な存在となっている。
迎え撃つ星敵たち。
そして俺は──ポーションを指に挟みながら、不敵な笑みを浮かべていた。
「さぁ、立ち上がりましょう戦士たち!」
振り撒くのは死者すら蘇る蘇生薬。
別に死者は出ていなかったのだが、回復アイテムとしてそれを使う。
ほんの少し、水滴一粒レベルでもそれを浴びた星敵は跳ね上がるように飛び起き、自らの体が十全に動くことを知る。
「知っている方が多いと思いますが、それは致死傷だろうと癒せるポーションです! どれだけダメージを負っても私が責任を持って治します! ですので、思う存分暴れて道を切り開いてください!」
『おぉおおおお!!』
普段、情報屋を経由して配布している蘇生薬と万能薬ではあるが、アレらには消費期限と保有制限を設けてあるので、彼ら自身の思うが儘に使えていたわけではない。
だからこそ、今この場において無尽蔵に供給される回復アイテムは彼らにとって最高の品となった。
どれだけ身力を削ろうと、雫一滴浴びるだけで瞬時に回復していく。
つまり、後のことを考えないで好きだけやりたい放題なわけだ。
「…………“スイングスパイヤー”の効果が切れた分も、これなら皆さん自身の力でどうにかなりそうですね」
「向こうも耐久性と持久性は厄介だが、こちらも負けてはいないからな」
「ええ、そうです──ねっ!」
災凶種の一体が禍々しい吐息を吹くと、それに巻き込まれた星敵。
俺はすぐにポーションを投擲し、その場に撒き散らしていく。
効果は覿面、濃霧のように重くこの場に留まろうとしていた息吹がポーションの中身に触れただけで霧散していった。
「万能薬の方も十全にご用意してあります。違和感などがありましたら、すぐに申してくださいね!」
「……いったい、どれだけあるんだ」
「この場を乗り切ることができるぐらいに、とでも言っておきましょう」
今回は:DIY:製ではなく、『巧天』に加え【生産勇者】で強化された品々だ。
自力で作るのが面倒な分、効果によってアイテムの性能が遥かに向上している。
結果、混沌の使徒が仕掛けたであろう濃霧のナニカもすぐに対処できた。
あの中からは、死亡レーダーが無数に何かあると反応していたからな。
「『生者』、このままこの場で支援を行い続けるのか?」
「そうですね……本来であれば先んじて向かいたかったのですが、おそらく罠はあちらにもあるでしょう。全員で行く、これほど安全な策も無いはずです」
ポーションは俺にしかばら撒けないし、しばらくすれば星敵たちが勝利するだろう。
──たとえこの間に何が行われていたとしても、俺はこの場に残り続ける。